抑揚を抑えた筆致ですが、行間に切なさ、やるせなさが滲んでいて、感情移入しながら読みました。ロマンや希望の象徴として描かれがちなロケットに対して「いまいましい」と毒づく描写がとても新鮮に思えました。最後まで切々とした、救いやハッピーのないモノローグが続きますが、この星に住めなった時にはこういう未来もあり得るのかもしれません。
作者様のキャッチコピーの通り、大きな物語へつながる始まりの物語、という趣の短編小説。頭上に広がる宇宙と地上が、スケッチブックに描かれたポートレイトでつながるというイメージが悲しく、美しかったです。ずっと未来に、二つの絵が再び出会うところも読んでみたい気がしました。
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