第22夜 右手にウツボ

 いわゆる市民プールのような場所に来ている。ポップな色遣いの建造物に囲まれて、浅瀬でゆっくりと歩く。

 周りには割と人がいるけれど、近くに親しい友人の姿は見当たらない。同じクラスの人たちと一緒にプールに来たらしいということだけが分かっている。小中高、一体どの時代のどのクラスかはよく分からない。夢の中ではクラスの面子が詳細に思い描けなくても、概念として「クラスの皆」と認識できればそれは実現してしまうので、今回もおそらくそういうことだろう。

 突然周りの人たちがざわめきの声を上げた。プールの真ん中の方に魚が現れたらしい。しかもただの魚ではなく、危険な魚らしい。その割には周りもそんなに大慌てするわけでもなく、危ないから離れましょうといった具合でのんびりと水辺から退避していたので私もそれに倣っていた。

 しかし魚の動きは素早かった。蛇のようなボディーが近づいてきたなと思っていたら私の右手に嚙みつかれてしまった。不思議と痛みはない。右手の小指側に噛みついて離れない魚を見ると、ウツボのような魚だった。右手に噛みついている頭部から長い体がぶらさがっている。独特の色味。たくさん並んだ小さなギザギザの歯、顔から口元にかけてしゅっとしている凶悪な顔はつぶらな瞳ではカバーしきれていない。ああウツボか。なんとなくそう思った。特別魚に詳しい訳ではないし、なぜウツボだと確信したのかは分からないけれどそう思ってしまった。しかし周りで見ていた誰かが「それはアナゴだな」と言った。正確にはアナゴではなかったかもしれないけれど、とにかくウツボ以外の魚の名前を挙げた。私は「いや、ウツボだと思う」と心の中で思った。同時に「この魚をどうにかして手から引っぺがしたいな」と思った。


※そこから違う夢に移ってしまったのだが、よく覚えていないのでここまでしか書き起こせなかった。

 



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夢日記 琥珀もどき @mochiko_m

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