下の句:玉の緒ばかりあひみてしがな
「雨に打たれて闇の中で
とし子にそこまでを語ると、ラムネ色のアイス・クープに残るさくらんぼへ
続ければ、自分が死を求めた過去が言の葉となり
「でも、先生のメッセージを読むまで
最後まで声にし終えると、葵はとし子の目を懸命に
「どんなことを考えてるの?」
声は
「災害に備えるみたいな感じです。日々使えるアプリを作って、元気な時、登録して使ってもらい、使用者の異変を察知したら働きかける機能をつけたいんです」
あの夜から
その先では変わらず溶け残るバニラに、赤く染められた
「……でも、アプリからの通知は慣れると無視されがちですし、どんな言葉が響くか……私は言語能力低くて……。そこからどうやって人に
葵にはアプリの「さくらんぼ」を生み出す自信がなかった。
伏しがちな
「先生、お
しかし、思いを語ろうとする程、気持は空回り、葵には敬意の伝え切れない言葉に思えて声は消え入る。その沈黙を
「暇だけはありますよ。今は私も一人暮らしなの」
葵がはっと顔を上げれば、とし子はアイス・クープを見つめ、
「こういう喫茶店も、缶詰のさくらんぼを飾るのも『ダサい』と言われたけれど、今はまた貴女みたいな若い人に選ばれるのだものね」
自らへ語るかにそう発すると、彼女は初めて相好を崩す。
「『
石綱が定家葛の古い呼称と葵は知らなかった。一方、とし子はアプリを作るイメージがない。それでも結ばれた繋がりが、
ライフライン 小余綾香 @koyurugi
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