ライフライン
小余綾香
上の句:ぬきみだる涙もしばしとまるやと
バスの小さな灯りを背に傘を開けば、水を拒むボタニカルフラワーが咲く。その
雨のかすかに
ストリートビューで幾度もシミュレーションしたものの、彼女にとって訪れるのは初めての場所だった。しかし、そこに待ち構えるものに
そうしてどれ程、歩いたか。
不意に
葵は再び歩き出す力も持たず、立ち尽くす。浅い呼吸を
『神山さん、こんばんは。雨上がりに貴女を思い出しました。梅雨によくお休みしていましたね。元気ですか? 麓とし子』
恩師の言葉が
やがて呼吸を整えようとした葵は
暗さに慣れた目は先方に樹木ではない塊を見出す。枝に似た影が
その時、流れ行く黒雲から月光はこぼれて夜を薄め、岩に繁る
葵は魂を抜かれるように光景を見つめた。
それも束の間、再び闇は深まり、水っぽい花の香りが立つ。もたらされた動悸に胸を抑えながら、彼女は天を
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