実験的なテアトロ

作者 Tonks

例えるなら...これは、底なし沼である。

  • ★★★ Excellent!!!

恐れてはいけない、泥沼の如く濃いストーリーに。
畏れてはいけない、作者の文才に、この世界に。



以下個人的な感想&長文です。ネタバレはないと思いますが、僕に文才は無いので悪しからず。
 実は、この物語はルート分岐があり、自身1ルートしか読了しておりません。しかし、Reviewを書かざるを得なかった。この物語への感想を抑えずには居られなかった。一部外部作品を挙げているので、信者様からは批判を受け得るのだが、ご了承願いたい。
 この物語を読んでいた時、様々な作品を思い出した。まず思い出したのは、Fate/stay nightだ。分岐し、主人公の感情を深く、深く掘り下げられる彼の作品に、この主人公の揺れ動く感情を重ね合わした。
 そしてその感情を書き認めるその構成に、彼の文豪、夏目漱石の作品群を思い出した。主なる感情と派生していく感情を、きめ細かく書き示す文豪の文章に、この作者の、様々な感情を散らした文体に、その魅力があるのかも知れない。
 そして最後に、INCEPTIONを思い出した。まさしく、切り替わり続けるその世界観は、彼の映画の如く演出だろう。

 が、残念ながら、この作品の星数は少ない。なぜだろうか。それは、この作品がその魅力さ故に放つ、異質な雰囲気を持っているからだ。
 近年のweb小説は、安易なキャラ付け、字面のインパクトばかりが横行する導入などなど、多くの"なろう系"と呼ばれるものが多く存在している。わかりやすい格好良さ、可愛さ、エロさ、そして賢さや面白さ(funnyといった方がいいだろう)がまるで滝のごとく溢れかえっているのである。
 その中で読まれる作品というのは、上記のどれかが極まっていたり、スッと一本筋の通っただけのものが多い。
 つまるところ、重く、引きずり込むかのようなこの作品は、読者達のその変に磨き上げられてしまったセンスに弾き出され得てしまうのだ。
 なんと非常に残念なことであろうか、斯くも素晴らしい生けるが如き叙情的文章が、埋もれてしまっている悲しさは。

 だからもう一度繰り返そう。恐れないでほしい、畏れないで欲しいと。

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