笑いという凶器の恐ろしさを実感させる秀作

笑いというものには二つの側面があると思います。
一つは周囲や自分自身を和ませる、ポジティブな側面。
もう一つは他者を嘲り貶めるネガティブな側面。
この作品は我々が生きる社会の脆弱さを、後者の視点から抉っていると感じました。
ある日突然現れた、自分のボケを送り合うというスマホアプリ「bocket」。
それはやがて匿名で書かれたボケが現実になるという、恐ろしい凶器に変貌して、主人公たちに襲い掛かります。
これは今SNSに蔓延している匿名の誹謗中傷より、さらに質の悪い凶器です。
笑いというものの恐ろしさを、この作品から実感させられるのは、果たして私だけでしょうか。
是非一度手にして、体験してみて下さい。

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