一貫したテーマとピリッとした皮肉

主人公が抱える課題が最初に示され、物語が進むとともにそれに対して答えを見つけていくプロセスが短編ながら非常にスマートにまとまっており、読んだあとにすっきり納得な爽快感が得られます。

今時流行りの異世界転生に対するアンチテーゼというか、自分よりも高位の存在から一方的に与えられたものを享受して楽しむのではなく、異世界の「素晴らしい」自分を拒絶してでも本来の自分を選ぶというのは非常に大切な視点のように感じられました。ラストのご褒美の日常感が素敵です。