蘇生が可能な世界で愛する人が死んだなら、あなたはどうしますか?

蘇生が可能な世界で愛する人が死んだなら、あなたはどうしますか?

それは自分の中にある ”愛” が試される瞬間であろう。
ただただ悲しみに耐える日々を送るか。
それとも狂犬のように暴れ回って、遮二無二に愛する人を生き返らせるか。

主人公はそのどちらでもない。
淡々と、クレバーに、そして一直線に愛する人の復活へ突き進む。
この物語の魅力はなによりも、その愚直なまでにぶれない姿勢である。
主人公がぶれないため、物語も地に足がついている。騒がしくない。
落ち着いて物語に没入することができる。
読書好きには重要な点だ。

作者がウィザードリィ好きなのは同好の志としてとても共感できる。
あのゲームで想像力を刺激され、自分の中で物語を紡いだ人ならば、大いに楽しむことが出来るだろう。

灰は灰に……塵は塵に……。
囁き……祈り……詠唱……念じろ!

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