単行本を購入したので、カクヨム版(公開部分)と並行して読ませていただきました。
ご本人がおっしゃるように、単行本版の方がかなり洗練されております。
簡潔な文章で、物語のテンポも良く、一気に読めました。
大変面白かったです。
通常より時間はかかってしまいますが、単行本版とカクヨム版を比較しながら読むのも大変面白いと思いました。
読みながら、「作者様はきっと、この物語通り、担当編集様とどうすればこの本が面白くなるか」を徹底的に議論し、改稿していったのだなと感じました。
何より、書籍化までの道のりや書籍化後の流通や宣伝など知らないことばかりだったので、非常に勉強になる一冊でした。
また、単行本のことをここのレビューに書くのは良くないかもしれませんが、表紙が非常におしゃれです。
今、自宅の本棚に置きましたが、凄く映えています。
ミュゲ書房の世界観そのままだなと思いました。
まさしくこの作品こそが、この物語の核を成している『リベンジ』という本に思えてならない。
一度は訪れてみたいと思わせる夢のような書店が舞台となった、夢のような本作りの物語。
この社会を上手く生きていくのではなくて、大切にしたい事を頑なに大切にする純粋な生き方と、そんな生き方をしている人達が繋がっていく所が好き。
展開も面白く、ハラハラワクワクしながら先を読み進めたくなる物語。
書籍化された「ミュゲ書房」は、所々に散りばめられた素敵なエピソードが物語に深みを増し、より洗練された素敵な本になっていると思います。この本の出版には心から拍手を送りたくなります。
大手出版社での挫折を経験した主人公が自分なりのやり方で、「本」そして「出版」へと向き合っていく姿が真摯に描かれる。
「ミュゲ書房」というどこかノスタルジックで独特な空間、そこへ集まる人々が非常に魅力的であり、こんな本屋を訪れてみたいという気にさせる。そしてこの小さな本屋を舞台に展開する物語には引き込まれずにいられない。
一冊の本ができるまでの工程、それに携わる人々の描写がとても興味深く、沢山の人の手が加わっているのだと改めて実感させられる。が、そこにはもちろん、商業としてのシビアな面がつねについて回る。大きな流れに身を任せるのか、自分のポリシーを貫くのか。
読むことは消費することではなく、自分の中に蓄積するものだと思う。同時に本も消費物ではない。手元に置いて折につけ読み返す、宝物のような存在ではないだろうか。この作品はそんな根源の部分を改めて感じさせてくれる。「本」に対する情熱と、「物語」への深い愛情がぎっしりと詰まった作品である。