疾風怒涛のエンターテイメント作品です。
アクションシーンに勢いがあって、ストーリーに爽快感があって、主人公の成長がしっかりとあって、しかも隙あらば笑わせにかかってくる。
この物語には、そんな楽しい要素が目いっぱい詰め込まれています。
ええ、文句なしにおススメ作品です。
巻き込まれ体質にして微妙な能力持ちの主人公『甲斐くん』
なにをやらせても完璧でクールな『折賀くん』
ちょっとデコボコながら絆で結ばれた二人のコンビが全世界を舞台に暴れまわります。
全世界、というのも誇張ではなくイギリス、アメリカ、アフリカなどなどまるでそこにいるかのような描写がまたすごいんです。
そして繰り広げられるアクションシーンは、まるで映像が流れているように華麗な感じなのです。
そのスピード感、能力を生かした浮遊感、ハリウッド映画ばりの派手さが実に心地いいのです。
そして何と言っても、主人公二人はもちろんのこと、脇を固めるキャラクター達の個性と楽しさがまた素晴らしい。
みんな一癖も二癖もあり、さらに人間じゃない人まで登場し、物語世界をどんどんと広げていきます。
甲斐君の視点で語られる物語はとにかく読みやすく、彼の心から漏れるボヤキはコメディーたっぷりで、クセになる読み心地。
しかも巻き込まれ体質のせいか、次から次へとびっくり展開のストーリーがつながっていきます。
とにかく作者が楽しんでいるのはもちろん、読み手を楽しませたいという気持ちがすごく伝わってくる作品です。
個人的にはアクションとコメディーを融合させるのは難しいと思っているのですが、これはすごく良いバランスで楽しめました。
というか、このバランスは本当にすごい!
ちなみにまだ連載中の作品ですが、私的にはすごく盛り上がっています。
ぜひ、今から追いかけてみてください。
面白さは保証付きです!
あらすじには、
>甲斐の「世界を駆けるブラックバイト奮戦記」が始まる!
と書かれています。
実際、物語の冒頭は
>俺の肌は日本の寒風ではなく、どこだか全くわからない国の空気にさらされていた。
とあって、「シリアかレバノンあたり」に主人公の甲斐健亮はいて、「「能力者」がテロ組織に売り飛ばされるのを、阻止するため」に奮闘しています。
読み進めていくと分かるのですが、本当に色んな国へ行きます。
まず、「ストーンヘンジ」のあるイギリス、イタリア・シチリア島――よりもさらにアフリカ寄りにある、ランペドゥーザ島、アメリカ・インディアナ州の州都、インディアナポリス、オーストラリア・シドニー……。
凄いなぁ。
地名が出る度に僕はスマホで検索して、こんな所かぁと思いながら読んでいました。ちょっとした疑似旅行気分です。
オーストラリア・シドニーでコアラが出てきた時は、嬉しくなっちゃいました。
コアラだ!って。
にしても、本当に色んなところに行っているなぁ。
僕も昔、高校生を対象にした学校説明会の補助スタッフというアルバイトをしていて、いろんな県の高校や文化センターみたいなところへ行っていました。
いや、ホント、移動時間って最初は楽しいんだけど、途中からしんどくなるし、帰ってきたらヘトヘトになるんですよね。
僕は国内でしたが、海外となると、もっとしんどいだろうなぁと思うと、自然とがんばれという気持ちになります。
毎回、飛行機だし。
飛行機もなぁ、結構きついんだよなぁ。
席にもよるんだろうけど。
という変なところで、共感して僕は「コード・オリヅル~超常現象スパイ組織で楽しいバイト生活!」を読んでいたので、異端な読者でしょう。
すみません。
ついでに言うと、主人公の甲斐健亮は途中で、女子大でもアルバイトを始めるのですが、僕も高校時代に習い事の関係で半年くらい放課後に女子校に通う時期がありました。
って言うと、時々羨ましがられるのですが、これがめっちゃ肩身が狭いですよ!
もう、甲斐健亮の境遇には共感しかありません!
ホント、がんばって!
もちろん、根本的な部分で甲斐健亮が抱える超能力による悩みや、組織によって抱えてしまう秘密、更に自分の出生の謎。
そういう全てに共感ができる訳ではありません。
なので、世界を駆けて奮戦して、少しずつ成長していく甲斐健亮が、どんな結論や夢を見つけるのかを楽しみにしています。
超常能力を活かし「能力者捕獲」のブラックバイトに励まされる主人公。
男前で頼りになるが、ときどき暴走するのが玉に瑕、妹溺愛の相棒。
そして優しい心と絶品手料理、なにより天使の笑顔でみんなの心を鷲掴みにするヒロイン。
ほかの登場人物たちもそれぞれ魅力たっぷり、敵方まで好きになってしまいます。
主人公に次々降りかかる受難に笑わせられながらも、いつの間にか応援してしまっているのは、作者様の魅せ方の為せる技。
読んでいるうち、自分もオリヅル・ファミリーの仲間に加わりたい!と思ってしまうほど、楽しくあたたかい物語です。
コード・オリヅル~超常現象スパイ組織で楽しいバイト生活!
本作は能力者(アビリティホルダー)と呼ばれる者たちが存在する世界で、能力者たちの調査と捕獲、管理下に置く「オリヅル」という機関に所属している主人公、甲斐健亮の活躍を描いたものである。
主人公は、人の「色」が視える異能を持っていた。幼少期に発現し、またその力を隠すようにして過ごしていた彼は、ピンクの色が取り巻いている少女、折賀美弥と出会う。
「そこだけ春が来たかのようにあたたかなピンク色だ」
彼女に惹かれるままにバイト先に押しかけ、その指が触れ合った時、甲斐は「黒い折り鶴」の映像が視えた。やがて美弥の兄である美仁との再会を通して、「オリヅル」に所属し、様々な機関が狙う美弥を守るべく活躍することになる。
コメディ、シリアス、アクション、サスペンス、アパートでの生活、様々な要素をこの作品で楽しめることと思うが、特に主人公の甲斐と、彼とコンビを組む美弥の兄、美仁との友人関係が面白い。時には美弥をめぐって喧嘩をし、コンビとして支えながら戦い、そして美弥のケーキをめぐって喧嘩をする‥‥。二人が美弥の保護者として女子高に赴くなど、反目しつつも認め合う彼らの関係がこの物語に読者を引き込む大きな要素となっている。
そして子供達だけの物語というわけではなく、子供の世話や心配をする能力者、美弥と美仁の親など見守る側の立ち位置とその理由など、多くの背景が丁寧に描写されているのもこの物語を深めている。
主人公である甲斐はやがてオリヅル以外の多くの能力者とも関わり、能力だけでなく人として成長していく。読者には甲斐の成長物語としても楽しんで読んで欲しい。
最後に作中で一番共感できた、在る人物の言葉を引用したい。そして読者はこの言葉に至る過程を、甲斐を応援しながら読んで欲しい。
「二人のそばにいるのがきみみたいな人で、本当によかった」
先天性の残留思念視能力により、視界に人間の『色』が見える主人公。
彼の名は甲斐健亮。彼が想いを寄せる少女の名は折賀美弥。彼女の兄の折賀美仁。
3人の周りに頻発していた超常現象の全貌は、彼らが或る組織に加入することで徐々に明らかになります。
世界に羽ばたく『オリヅル』という組織にて、ジャージを制服にブラックアルバイトに勤しむ少年たちの冒険譚は、とどまるところを知りません。
異能を見る者、宿す者、導く者の絆。脇を固めるキャストの個性も秀逸。
シリアスとコミカルが同居する『オリヅル』ワールドへ、是非、一緒に飛翔しましょう。