すごい力を持った魔道書があり、それがあれば助かる人がたくさんいるのに、偉い人たちが魔道書を独占している。そういう世界で活躍する、魔道書を専門に狙う海賊のお話です。
彼が魔道書を狙うのは、困っている人、必要な人の手に魔道書が行き渡る世の中にするため、といういわゆる義賊です。
個性豊かな船員たちが、魔術を使う船長の元で賑やかに切った張ったを繰り広げます。私はマリオが好きですね。
バトルシーンや海戦が派手で、迫力があります。
世界観がすごく凝っています。
私も全部のネタ元がわかるわけではないのですが、いろんなモチーフの人物やアイテムがちりばめられていて、よくできたパッチワークのようです。
海洋ファンタジーという珍しく感じたジャンルだったのでこの作品を読ませていただきました。
ボク自身、馴染みがあまりないジャンルということもあって、3章までで描かれる多数のキャラクターの名前や、ファンタジー要素である能力や世界観を整理しながら読んでいたのですが、
この作品は世界観の理解がどれほど理解できたかによって読み終わった時の受け取り方が変わってきそうに思いました。
というのも海賊視点でみると、魔道書の使用に制限をかけている帝国陣営が悪く見えてしまう。かといって騎士陣営であれば強力な力を持つ魔道書を集める海賊は危険な存在として見逃せない。貴族の身分では争いという場面ではそぐわない感性を浮かべたりと、3陣営で行う作品だからこそ生まれる厚みのある世界観に感じました。
とても面白い作品です、是非とも最終話まで読んで欲しい作品でした。
ボクの評価は★3です!
舞台は大航海時代をモデルにした物語。
今まで見た小説の中でも、見たことがあまりない作品でした。
「海賊」といえば、乏しい想像力ですが戦闘や砲撃戦なんかがイメージしやすいですが、文章に書けるのだろうか?と思いながら物語を見ていくと、これまた序盤からストーリーが読みやすく、なによりキャラの動かし方も凄く上手いです!
それぞれのキャラの意味があって、言葉にも説得力がある。
それに好みがはっきり分かれそうなあたり、軸を持った作風だなって素直に感じました。
面白いと一言で言えば簡単ですが、完結まで読んでみて改めて作者様の「こだわり」を感じましたね!
素敵な作品をありがとうございました!!
海賊といわれ、最初に思いうかべてしまうイメージは、カリブの海賊と、麦わら帽子のアレですが、それとは全く違う海賊がいます。
様々な技能を持ち、性格に一癖二癖ある仲間達が繰り広げる痛快な物語である事は共通ですが、そのキャラクターに、差異があると感じます。
よくあるのは「それぞれ性格は違えど、根っこにある熱い想いは同じ」なのだと思いますが、本作の登場人物は、その根っこも違うような、そんな気がします。
性格は当然、違うし、目的もそれぞれ違う、そして根っこにあるものも…やはり違うものがある登場人物たちが何故、一緒にいられるか、と考えた時、この物語は、登場人物たちが少しずつ自分の大切なものを出し合い、そして居場所を作っている物語だと思いました。
様々な危機があるけれど、自分たちの居場所を作っている仲間だからこそ協力し合えるし、大切な者を出し合っているからこそ信頼できるのだ、と。
悪くいうならば損得感情ともいえてしまうところが、「海賊」という言葉にぴたりと一致した気がします。
などと理屈をこねくり回していると、ふと船長の言葉が聞こえてきたような気がします。
彼はこういったように感じます。「考え方も感じ方も、自由だよ」と。