おもしろいです。小説らしい、小説です。SFらしい、SFといってもいいかもしれない。なにが小説なのか、SFとはなにか、カクヨムに上がっているのは小説ではないのか、と考え始めるとキリがありませんが、構成も凝っているし、SF的ガジェットが好きな方や行き当たりばったりの小説に食傷している方にオススメできます。
自分は何かしら他人とは違う。その事に歓喜するのか。苦悩するのか。ヒューマンドラマ×SFの端正な、それでいて深層を描く一作。決して長いと言えないこの文章量の中、至る所に敷き詰められた作者の意識。近未来のファクターを美しく配置する様は、文体も相まって我々に視えざる幻想を抱かせる。交差する視点と視線。「ヒト」の最奥を見透かす対の瞳。作者は我々の瞳を通じ、様々な翳に潜む色彩を浮かび上がらせるのだ。『呪い、或いは進化する人類の物語』これに総てが凝縮されている。しかと視よ。脳へ投影される物語を受け取れ。それは呪いか、或いは。
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