自分は何かしら他人とは違う。
その事に歓喜するのか。苦悩するのか。
ヒューマンドラマ×SFの端正な、それでいて深層を描く一作。
決して長いと言えないこの文章量の中、至る所に敷き詰められた作者の意識。
近未来のファクターを美しく配置する様は、文体も相まって我々に視えざる幻想を抱かせる。
交差する視点と視線。「ヒト」の最奥を見透かす対の瞳。
作者は我々の瞳を通じ、様々な翳に潜む色彩を浮かび上がらせるのだ。
『呪い、或いは進化する人類の物語』
これに総てが凝縮されている。
しかと視よ。
脳へ投影される物語を受け取れ。
それは呪いか、或いは。