ミネラルウォーター

あなたが投げて寄越した

ミネラルウォーター

両手で捕まえた


「暑いですね」


雲間を貫く陽射しが

私たちを照らす

ニュースは猛暑日を伝えていて


「まるでサウナだね」


と返すあなたの

首元を伝うしずく

私の目を奪う


買ったばかりの

ペットボトルも

あっという間に汗をかく


「手をつなごう」


あなたが左手を差し出すけど

私の右手は濡れていて

恥ずかしくって

髪をいじって誤魔化したら

自信作が崩れちゃった


「汗じゃなくてペットボトルの水滴です」


なんて私の前置きに

あなたは珍しく大笑いして

ぎゅっと手を握ったら

彼の手もびしょ濡れだった

それから2人で大笑い


ミネラルウォーターを買う度に甦る

そんなふたりの笑い話

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ささやかな 森町シマ @Morimachi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ