簡素でありつつも何処か詩的な文章が、綿密に儀式を成している。
サディスティック、エロティック、グロテスク、そして、ピュア。
そういった目を惹く要素が煌めきながら、儀式を終焉まで見守り隠している。
読者は最後まで読んだ途端、儀式が終わった途端、漸く目の前に現れた世界に驚きつつも既にそれに沈み込んでいる。
そんな印象を受けました。
めっちゃ軽く言うと、「この小説やばない!? 世界観やばない⁉」です。
惜しい点が二点あります。
それはこの小説を読んで今レビューを書いている「私」にあります。
小説自体の問題ではありません。
一つ目は、この小説を理解する上で必要な知識を欠いていること。オカルトに興味がある方には「私」よりも深くこの小説を楽しめることでしょう。
二つ目は、「私」がくたびれた大人であること。前述に述べた目の惹く要素が「私」には浅くしか刺さらず、世界観に存分には引き込まれずに悔しい思いを致しました。
故に、この二点を含まない読者の方はどうか私の分までこの小説を楽しんで下さいませ。
具体的に言うと、「オカルトに興味がある、中高生(もしくは一般的な中高生と同じ程度のリビドーを持ち合わせている方)」でしょうか。
該当の方、お願いします。
同作者の別作品『ヒーロウ・イン!』は私にぶっ刺さったので、そちらは存分に楽しみますよー!
本作は兎に角、魅せ方が素晴らしかったです!興奮が覚めないままレビューを書いているのですが、ついつい続きが気になってしまう話運びは読み進める度に謎が深まって、作品の魅力にハマってしまいます!
ホラーチックな不気味な導入から私たち読者を一気に本作に引き込みます。
そして、主人公2人のやり取りやアクションや学園物、恋愛などの要素の出し方にはこれからどうなるんだろうと、ワクワクが止まりませんでした。様々な要素の良さを本当に上手に混ぜ混んでいます。
多くの方が既にレビューでかかれているのですが、本当に暗闇を覗き込むような楽しさがある作品だと思いました!
通して読みました。ありがとうございます。
作者はしっかりした構成を築ける人なので、安心して最後までお読みください。
しかし、これは主人公に共感したりがんばれ!と応援するタイプの作品ではありません。
きっと皆さんは不可解に思いながらこの傍らの闇を覗き込むことでしょう。
主人公二人とも孤独で、変わっていて、独自のルールで動いていて、知らないうちに大きな何かと戦っています。
皆その構造に見覚えがあるでしょう、泥沼の中でもがくような闘いに共感できるのでは。
一見異能バトルファンタジーとして良くある形かな?と思っても、本質は違う所にあります。
好奇心をもって闇を覗き込むのが好きな方、どうぞお読みください。