若人よ、このオカルト小説に沈め

簡素でありつつも何処か詩的な文章が、綿密に儀式を成している。
サディスティック、エロティック、グロテスク、そして、ピュア。
そういった目を惹く要素が煌めきながら、儀式を終焉まで見守り隠している。
読者は最後まで読んだ途端、儀式が終わった途端、漸く目の前に現れた世界に驚きつつも既にそれに沈み込んでいる。

そんな印象を受けました。
めっちゃ軽く言うと、「この小説やばない!? 世界観やばない⁉」です。

惜しい点が二点あります。
それはこの小説を読んで今レビューを書いている「私」にあります。
小説自体の問題ではありません。
一つ目は、この小説を理解する上で必要な知識を欠いていること。オカルトに興味がある方には「私」よりも深くこの小説を楽しめることでしょう。
二つ目は、「私」がくたびれた大人であること。前述に述べた目の惹く要素が「私」には浅くしか刺さらず、世界観に存分には引き込まれずに悔しい思いを致しました。

故に、この二点を含まない読者の方はどうか私の分までこの小説を楽しんで下さいませ。
具体的に言うと、「オカルトに興味がある、中高生(もしくは一般的な中高生と同じ程度のリビドーを持ち合わせている方)」でしょうか。
該当の方、お願いします。

同作者の別作品『ヒーロウ・イン!』は私にぶっ刺さったので、そちらは存分に楽しみますよー!

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