この物語の主人公、小さい頃から夕飯は母とふたりで食べていた。それどころか、父と一緒に食べた記憶も思いだせないくらいに曖昧だ。
それは、主人公と父の生活サイクルが正反対だったから……。
この主人公が、遅い時間に受験勉強に勤しんでいると……。
『……こんな真夜中に起きてる悪い子は誰かなぁ?』
耳に届いた言葉に、かわいらしい悪態をつきながらも、それはどこか楽しそう。
この物語の中のふたりのやり取りを、あなたも覗いてみてください……。そこには、愛おしさと暖かさが揺蕩っているように思えます。優しいすれ違いに癒されるかもしれません。
とてもとても、素敵な短編なのです……。