レッドスピネルの精霊ヴァンと、令嬢メリルローザが呪いの品の浄化を行う。中世の情感たっぷりな世界観で展開される安定感のあるストーリーです。
そして、これに加えて注目して欲しいのが二人の恋のやりとりです。
最初こそ強引なところもあったヴァンですが、事件を解決していくうちに、メリルローザとの距離が近づいていく…その過程がたまりません。
大切にしたいからこそ触れられない。でも誰にも彼女に触れて欲しくない。
一方で、メリルローザも、宝石の精霊であるヴァンと、人間である自分の間に横たわる年月の差に悩んでしまう。
本当に…この焦れったいのが…たまりません…。
ラストで二人がどのような決断をするのか?
ぜひ皆さん、その目で見届けてくださいませ…!
少し気が強くて心優しい女の子メリルローザは、成り行きから宝石・レッドスピネルの精霊ヴァンと契約を交わす。その代価は血。
二人は作中で度々血の譲渡を行うことになるのだけれど、甘美な疼きをもたらすヴァンの吸血は、キスでもなく、性的な行為でもないのに官能的で背徳的。その濃厚な描写に思わずこちらもごくりと喉が鳴る。
謎解き、冒険の要素の中に二人の切ない恋が入り交じり、ドキドキハラハラきゅんきゅんじれじれと読み進める手が止まらない。
儚い時を生きる人間と永遠に歳を取らない精霊、これまで異なる時間を生きてきた二人の未来は交わるのか。最後まで読み進めたあなたはきっと……幸せな高揚感に包まれる。
貴族社会のことはよく分かりませんが…
ひょんなことからエーデルシュタインの精霊と契約することになった純朴で見目麗しい乙女の主人公メリルローザが、朴念仁な破廉恥精霊に純情を絆されてゆく物語です(違
先のレビューされた方もおっしゃってますが、途中途中で描かれているその情事(吸血)に悶えます。
姉御的な精霊フロウが現れてからが本番で、物語も絆されてゆく成り行きも加速して参ります。
また、脇役もそれぞれ良い味を出しており、特に幼馴染のジークハルトのメリルローザを想う気持ちと優しさに思わず涙腺が緩みました。
緊迫するラストからエピローグに至るまでは、純粋な愛に彩られた形で物語を締め括られておりますゆえ、その尊さにフロウの餌を生み出すことは不可避で、スマホの画面が見づらくなること請け合いです。
レビューの始まり方はアレですが、こちらの筆者様の作品はいずれも綺麗な情景が目に浮かぶほど丁寧に描かれており、読み始めるとすーっと世界観に引き込まれます。
もっとずっと読んでいたかったと読み終えたあとに感じる素敵な作品でした。
あ、見た目と契約にかまけて、けしからん言動ばかり起こす表題の精霊ヴァンについては、彼なりに答えを出し責任を取ったので良しとします(何様
薔薇の名前を持つ貴族の少女・メリルローザは、父の頼みで叔父のグレンの養女となり、彼の娘としてキースリング邸で過ごす事になります。
そこで出会ったのが、レッドスピネルという赤い宝石に宿る精霊・ヴァン。彼には「呪いの掛かった“呪われた品”を浄化する事が出来る」という特殊な能力があり、その力を使うには契約者の「血」を与えるという対価が必要なのでした。
そんなヴァンと契約することになったメリルローザは、自身の血を彼に分け与えつつ、叔父の収集してきた「呪われた品」を浄化して行く事になります。
最初は「契約関係を結んでいるだけ」だった二人ですが、徐々に絆が生まれ、「愛」が芽生えて行く過程がたまりません…!
特に最終話付近では、あまりの尊さに脳内が爆発して夜空に光り輝く星になれること間違いなし(私はそうだった)です!
もちろん二人以外の登場人物もそれぞれ魅力的で、みんなそれぞれの「愛」に溢れています。
優しい愛に溢れた物語を、皆様ぜひともご賞味あれ!