虹の竜と願いのリセラ 5

 こうして、かれはかのじょといっしょにかのじょの村にいきました。

 村のひとたちはずっといなくなっていたかのじょをしんぱいしていて、かのじょがもどってくると、おおよろこびで、村中でおまつりをひらきました。かのじょのつれてきたかれも歓迎されました。

 その空気の中で、ようやくかれは思えたのです。


――人間は、みにくいばかりじゃないんだ。


 かれはしあわせをかみしめました。

 かれはもうひとりではありません。

 かれは思ったのです。


――ここでなら、いきていける。

 この場所でなら、だれもぼくをいじめない。


  ◇


 人間と竜では寿命がちがう。

 未来、かのじょはかれをのこして死んでしまいます。

 村のひとたちもみんなみんな、死んでしまいます。

 けれどもかれはずっとずっと、おぼえています。


 かのじょのくれた、あたらしい名前。

 かのじょのくれた、あたたかさ。


 そしてかれとかのじょのあたたかい関係を祝福して、

 ある神さまは星座をつくりました。

 それはかのじょのすがたを模した星座でした。


   ◇


 むかしむかし、あるところに。

 そんなはなしがあったんだとさ。


 虹の竜ホープは長くいきる。

 かれは今日もどこかで、かのじょの星座をながめ、

 あたたかなひびを思い出しているのかもしれません――。


【虹の竜と願いのリセラ おしまい】

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虹の竜と願いのリセラ 流沢藍蓮 @fellensyawi

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