異世界アンダルシアを舞台に紡がれる、封神の旅の物語。
熱く力強いプロローグで語られるのは、勇壮な戦いの物語。
『希望の子』フィラ・フィアをはじめとする、封神の旅団の戦い。
それから三千年後――絵心師の少年フィレルがおかした禁忌をきっかけに、封神の旅は再び動き出します!
この作品からはとにかく作品への愛情が伝わってきます。
熱く勇壮で、それでいて重い物語。綿密に構成されたプロット。一人一人が生き生きと動いているキャラクター。細部まで作りこまれた世界観に、臨場感に満ちた戦闘描写に、胸に迫ってくるような心情描写。どこから語ればいいのかわからないほど、とにかく魅力的です!
少なくとも、私の好みにはドストライクで突き刺さりました……!
その中でも、特に優れているのはキャラクター造形ではないでしょうか。
一人一人が生き生きと動いていて、本当に命が吹き込まれているかのようで……フィレルくんやフィラ・フィアさんといった新生封神旅団だけではなく、行く先々で出会う人々や、封印対象である神々にまで一人一人の物語があり、キャラクターが生きているとはこういうことなのだな、と強く感じました。
ここまで面白い本格ファンタジーは稀有です……!
是が非でもと書いて是非ッ! ご一読くださいませ!
「前日譚 戦神の宴」
それは三千年の昔の物語。大陸国家シエランディア。
当時の王はアノス。すぐれた政治を行い、人望もあり、民からの信頼も厚く、世に聞こゆる名君と噂される、君主の鑑たる王だったが、そんな王でさえも、どうにもならない問題があった。
「荒ぶる神々」だった。
その「荒ぶる神々」を封ずる旅に出る七人の旅物語が前半で語られる……。
熱く、力の籠った物語だ。
そして、未来。
生まれ持った天才的な力、絵心師を持つ少年。
主人公のフィレル・イグニシィン。
絵心師とは、描いた絵に奇跡が宿る凄い力だった。
例えば、リンゴの絵を描けば、美味しい食べられる奇跡の林檎になる。
という具合に、描いた絵を実体に変えられるということだ。
ある日、自身の無邪気な性格ゆえに、取り返しのつかない禁忌を犯してしまう。
彼が描いたのは――。
戦闘描写と作り込まれた設定に肝を抜かれること間違いなしでしょう!
前半でここまで熱く物語が構成されているのも、なかなか勇気のいることです。
とても面白いので、ぜひご覧ください!!