4-6 Ending

場所:風の村フェデス。村の入り口。

クオーツ・フィテーレ/現聖職者。

スカーレット・フォーカー/技師。

「まったく、ディアとかいう娘。突然飛び出したかと思えば服をぼろぼろにして帰ってきて、あの様な野蛮な女など見た事がない」

「シュピリーの野郎まさかバックレたわけじゃねえよな?! 人を散々試しといてこのまんまで済むと思うなよっ地の果てまで追いかけて場合によっちゃぶっ殺す!」

「……! な、なんと野蛮な女がいるんだこの村は……。かっ帰る! 帰るぞ!!」




場所:薬師の里トルレイユ。薬師長の部屋。

ガンドナ・バイシャ/薬師の長。

ロジェ・トルレイユ/ガンドナの弟子。

「ノアはまた旅に出たのですか?」

「いや、アトリちゃんと薬草を取りに行っておるよ」

「帰ってきたらまた傷作っていて」

「元気に戻ってきてくれたんじゃから、それでええわい」




場所:聖なる祝詞ナハトスティルタの金属塔。跡地。

キュラー/精霊。

シュピリーツァ・ヴァン・ハイネスト/旅人。

『シェイナたら、まあたこんなに花咲かせちゃってえ。毒草まであるわあ』

「あの精霊を従わせられる男なんているんですね」

『人間の中では整ってる方よねえ。草みたいな髪色だったしい。あっ大丈夫よお。あたし、シュピリーちゃんから目移りしないからあ』

「うへえ」




場所:学術都市ホートワープ。公国図書館前。

ディア・ロウ・セルベルク/騎士。

疾燕/商人。

オルガ・シェリアスタ/お嬢様。

「ディア殿。あんな風に飛び出して、ノア殿とアトリ殿を抱えるだなんて」

「疾燕さんがどうにかしてくれるだろうと。実際そうだった」

「タダ働きさせないで下さいよ」

「騙した分はこれでおあいこ。という所だ」

「二人ともお久しぶりです。オートマタの騒動もなくなって、金属塔が全て消えたニュース聞きました?」




場所:港町ハルシェ。タニアの家。

ルーク・ハルシェ/元聖職者。

タニア・ハルシェ/ルークの義母。

「僕が精霊術が一つだけ使えるって言ったら信じる?」

「ルーク。貴方が怪しい宗教に入るのは、亡き貴女の母であるジュナーに誓って認めません」

「何の話?! ……じゃあ、自分の人生滅茶苦茶にした件に関わった奴に親切にしてやるのは?」

「……。それは、私にも出来るか分からない、難しい話ね。でも、もしもそれを心から選べる人がいるなら、誇らしいと思うわ」

「そっかー……。そうかあ」




場所:石壁の町コクロト。広場。

マナ・コクロト/孤児院の子。

パメラ・ベスタ/町民。

「其は地に根付きたる者。共に奏でるは繚乱の、朽ちぬ花が咲く調べ。歌え聖域。……だめだなあ。なんにも反応ないや」

「ルークさんはそれですごい植物出せたのに不思議ね」

「この地にまつわる古書があったら読みたいとか言い出して。何だったのかしら」

「…………ノア、元気かなあ」




場所:薬師の里トルレイユ。近くの森。

ノア・トルレイユ/少年。

アトリ・トルレイユ/少女。

「シェイナたら、私でも応じてくれないのにあの……ルークさん? の言う事は聞くなんて」

「何か仲良かった感じだったし、先に応じてたんだ。助かったしいいだろ。足場をルークくん、救助にディア、援護に疾燕。借りが出来たな」

「ノア。沢山お友達が出来たんだね。なんか嬉しい」

「今度一緒に会いに行くか。おれがこうして生きてるうちにさ」

「悲しいこと言わないで!」







and...







場所:過去ホートワープ

「はい、一本で」

「くっそーまた館長に負けたー!」

「その言い方止めて下さい。館長なのは父なので」

「かんちょーのにーちゃん手加減してやれよー」

「そうだ館長のにーちゃん勉強も出来んだからずりーだろー」

「地獄の沙汰も金次第という言葉をご存知で?」

「かんちょー性格わるいー」

「館長目つき悪いー」

「ぶちますよ。おや……何してるので?」

「絵がある」

「あ、人形の。懐かしい。これはあっし達が描いたんですよ」

「わたしも描く」

「あーおれらもやるー」




場所:過去ハルシェ

「いい町だったわね」

「……」

「どうしたの? 元気ないわね」

「近所の子と仲が良かったから寂しくなったのかな?」

「……おとこのこが、おんなのこだった」

「あら、パパこの子ったら」

「よし、よく聞きなさい。女の子には意地悪したり泣かせるより、優しくした方がもてるぞ」

「ぼく別にもてたくないし。一緒にいたってつまらないじゃん」

「その子といる時は楽しかったんじゃないのか?」

「もったいないよなー、あいつ」

「また会える様に教会でお祈りしましょう」




場所:過去ベスタ

「うーん。あの町の大樹をどうにか元気にしてやりたいが」

「すきありっ!」

「うわっとと、お前は本当におてんばだなあ」

「ちちうえ、ここがせんじょーなら、ちちうえはしんでたぞ」

「うむ確かに。ウチトラレター」

「あなた、その子に剣を教えないで下さい。騎士になりたいと聞かなくて」

「かっこいいのがいいんだ」

「おお、分かっているなあ我が娘は」

「とーぜん、だ!」

「あなたっ」




場所:遥か過去のどこか。

「理解できませんね。なぜワタシを生かしたんです? 精霊術なんていう遥か上位である精霊を操る異端を助けたとあらば、アナタ。次の生贄にされますよ」

「昔もねえ、こんな風に危険を冒すことで救える命があったのよう。でもためらって、妹の子供を死なせちゃったわあ。誰でもよかったの。この命は、別の命を救うためにあった。君を救えなかったのは、そういう事情だったの。そんな風に自分に言い訳したかったんだわあ」

「馬鹿」

「あはあ、そうねえ。貴方が死にたいならしょうがないんだけどお。貴方は、なるべくなら生きて。幸せになってって思っちゃうわあ」

「ま、アナタにどう言われようとワタシなりには生きていきますよ」

「死んだ後の命は、大いなる輪の中に還り、新たな命として生まれ変わるそうよお。だから。あは、はは。どうなっているのかしらねえ。一つの命として生まれ変わっているのかしら、何か大きな力の中に融けているのかしらあ。ねーえ、泣かないでよお」

「……生まれ変わったらまた人になりたいですか」

「そーねえ。赤い花が好きだからあ。赤い髪で、赤い瞳の女の子になって。貴方の名前を呼びましょうか」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

その名前を呼ぶ 鈴稀あわひと @awahit0

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ