心証世界

ミスターN

心証世界 =

暗中、色は反転し白へと向かう。

白に削りだされた黒くざらざらした>が、倒されるのを心待ちにするドミノのように列挙される。

整然とならんだそれらは同じく黒いワイヤーで接続されていた。

ワイヤーは自らの機能を持つのか持たぬかも理解しないまま、概念重力に従って>の接地面に向かい少し垂れ下がる。


     それが均一な世界に同じく均一な煩雑をもたらして少し騒がしい


>には灰色のcodeが数個のdelimitarを以って現出し、0xffになって同化することを繰り返す。

同期も無しに淡々と繰り返す。

時折、思い出したかのように何も映さなくなる時もあった。


     消えて欲しいときほど現れるのが意図だという

     さて、概念重力に逆らった方向を見てみよう


白が浮き彫りにした波紋。

それが時間ごと固着した水面がどこまでも透明に広がっていた。

所々間違いのようにincldeが開いていて、そこには必ず肺魚errorがじっと浮かび上がり呼吸している。

双眼はあちらこちらを眺めまわし、意味も意識も無いのだろう。

だけど、目が合う度に何かが泡立つ感覚に襲われた。


     身体は無い

     視点のみが存在する

     でも、自分の水晶体は飛蚊症で知覚出来た


さらに追記するならば。

身体が無い故に温度も音も感じないのだが、痛くない位の静謐さを認識できた。

完成された世界とはここなのだろうか?

外の世界はこの世界で解釈されたものだろうか?

疑問が浮かぶことで、自分に思考能力が存在することを意識的に自覚する。

延々と続く同じ工程に、時間は麻痺した。

だから水面は固着していたのだ。

では、>はなぜ動く?

肺魚errorは双眼を動かせる?


     そうか、あれは外との境界なのだ。

     動いた世界から投射され、止まった世界に張り付いて動く影法師うつしよ


でも、触れる手が無いから。

水面を見上げて反射したcodeを眺め続ける。

肺魚errorは僕の視点を覗き返そうとするから目を逸らしながら。


それでも、

include <肺魚error>

が起こることは分かってしまう。


[EOF]

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