第2話
男たちの目的は、他の町-クロワット-で働く人たちを集めることだった。
元戦士団のマットは、山あいにあるへんぴな貧しい町ー少なくとも実際に来るまでそう思っていた。
傾いた家屋が並び町は薄暗く、明日はおろか今日食べるモノにも苦労して、未来に生きるのを諦めた人々。
そう想像していた。偏見でなく、これまで各地を歩いてきた経験からだ。
「ほう」
思っていたより、町並みはキレイだった。
すれ違う人々も、こぎれいな感じだ。治安は、良さそうだ。
「普通、辺境だと首都の目が届かないから荒んでいてもおかしくないんだがな」
「自前で警備団を組織しているらしいぜ」
仲間たちが、そう会話する。
一応、辺境にも国から派遣された警備兵が、配置してある。が、予算と数の不足から全てをカバーできていない。
「ここまで治安が、いいのはホント珍しいな!」
「油断するなよ。聞いたところによると国の弾圧を受けた難民が、この町にいるらしい」
隊長のマットが、仲間たちを質す。
とりあえず、15日間世話になる宿屋を探す班と町役場に話しを通す班、町の近況を調べる班の3つに分かれた。
赤い月と少年と 不沈 @kawa4048
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