2-4
同時刻、隋王都にて。
「鳳凰が見つかったと?」
「はい。まだ確定ではありませんが、名前と特徴が一致しており、かなり期待できそうです」
「羽根は?」
「まだ」
「羽根の確認が先だ。カスを引いても処分が面倒なだけだろ?」
「承知しました。確認を急がせます」
「でもまあ、これまで曖昧な報告を続けてきたお前の期待だ、無下には出来んよ」
「は、ありがたき幸せ」
「では勅だ」
仰々しい仕草で一筆したためたあと、国璽を押す。連絡役に渡し、自分も部屋から出る。
残された家臣らはざわめき、それは徐々に広がっていく。
「……陛下はご乱心であらせられるのであろうか」
「この勅は……」
「恐ろしいことになるぞ」
「そこまでしてあの羽つき、とやらがほしいのか?」
「いや、彼が望んでいるのはその御身の不老不死だけだ」
翌朝。
休みの前の日はだいたい飲みすぎる。それがブリテンの騎士のつとめだ。挨拶する連中が皆青白い顔をしている。
「で、ネイピアさんよ。お姫さまとどんなお話を?婚約して一気にランクアップか?」
「ばかいえ、やめてくれ。結婚しても俺の順位は3桁から上がらん。子供はそこそこいくらしいが」
「じゃあ摂関政治だな」
「縁起でもない」
カイチが通りがかったので声をかける。
「よお。昨日はきっちり飲みすぎたな」
「ああ」
「そんなにキツいか?」
「いや、ちょっと外に用事があって急いでてな」
「そうかよ。お前のとこのにもよろしくな」
「伝えておく」
目を合わせようともせずに足早に去っていった。よっぽどキツいんだろうな。
……昨日、お姫さまに一方的にまくしたてられたのは全く意味のわからないことだった。
「あっ、私この国の姫でして」
「それは存じておりますが」
「水晶占いができて、結構かなり当たるんですよ」
「ほう、それはなにより」
「ネイピアさんがファイさんを買うことはまったく決まったことで、その必然性にわくわくしてここまで駆けつけてしまったのですが」
「ちょっと待て、まったく決まったことって何だ」
「決まってるんです、これは何度繰り返してもあなた達はそうと気づかずに絶対に出会います。そして」
「そして?」
「……此処から先は此処から先を見ている人々のみ知ればいい情報で、あなた達に開示する意味がありません。そして、私にはその権限がありません。失礼します」
「……は?おいちょっと待て全く意味がわからな……せめて聞けよな」
「僕らは観測されているんでしょうか」
「……何に?」
「今も僕らを外から見ている人々に」
滅びを眺める巫女と、世界を 奥村きていじん @kiteijin
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