朽ちかけじゃあて。
職業を選んだ事でHPやMP、SPが増えたのう。何と何を合わせているのか調べんと分からんがの。
「ステータスに修正がついとるのう。」
職業によるステータス修正と言うのがこれじゃな。
レベルアップの時はどういう風に上がるのじゃろうか確認をしてみんとの。
それとスキルじゃな。これがどういった物でどんな効果があるか分からんと意味が無いからの。
サバイバル 1/10
生存率を上げる為にあらゆる事に効果を発揮するスキル。何にでも効果を発揮するが本職には負ける。
ざっくりしとるの………………………何にでもって何じゃ……………
「他はどうじゃ?」
直感力 1/10
あらゆる出来事に対し感覚的に判断できる様になる。
説明その物はかなり簡素じゃが………とは言えこれは重要なのでは?何かを見つけたり攻撃を避けたりする時に後押ししてくれる可能性があるからの。
「さて、もう一つの未取得とは?」
意識を向けると未取得項目が開き、目の前が大量のスキルで埋まり思わず仰け反ってもうた。
「こ、これは………もしかして全ての初級スキルかの………」
あまりの多さに目を回しながらも確認していくとやはり全て初級や基本的なスキルだと言う事が分かる。
「……どれを選べばええんじゃ……?おや?これは何じゃ?」
初級剣術や初級魔法の中にやたらと異彩を放つそのスキルから目が離せない。
「こ、これは……このスキルは!」
まぁ、待て。まだ慌てる時間じゃあない。
他のスキルもあるから一度他も確認してから改めてそのスキルを見る。
そしてワシは何も考えずそのスキルを取得する。
〔初級スキル「生活魔法」を獲得しました〕
――――――――――――――――――――
腹ごなしも済み、改めて周囲を確認する。
「ん?あれは………?」
さっきまでは全く気付かなかったが、木の側にキノコが生えている事に気付く。
それだけでは無く、草むらとしてしか認識していなかったがよく見ると野イチゴみたいな物がなっている。
それらを何の疑いも無く採っていく。
何と言うか、判るのじゃ。食えるか食えないかがの。
更に森の中に気配を感じそちらに視線をやると、兎やリス、果ては食えそうな虫、そして遠巻きに熊を確認出来た。
「………ぬ。流石に熊はやばいの。………向こうも警戒しとるだけ見たいじゃし、ゆっくりと立ち去るかの。」
ワシは手に入れたキノコと野イチゴを抱えて焚き火の所へと引き返した。
戻ると今度は石を漁る。
「これは斬れそうじゃ。」
比較的鋭利な石を見つけ、比較的平らな石を生活魔法の土でより平らにし、生活魔法で水を小出しにしながら鋭利な石を研いでいく。
それが終わると刃を当てない様にポケットにしまい、もう一度森へ向かい枝や枯れ木、落ち葉を集めていく。
「………スキルとは凄いのう……短時間でここまで出来るとは・・・」
そこには焚き火と雨避けしか無かった場所がキャンプ地と化していた。
雨避けも枯葉を敷き詰めたテントになっとるし、生活魔法でそよ風を吹かせ、生木も乾燥し不快感は無い。
焚き火もロウソク程度ではあるが生活魔法で火を着けれるし、蔓草を石ナイフで細く切り出し丈夫でしなる枝に括り付け釣具に。
針は他の動物に食われた何かの動物の牙を細くなる様に削って同じ様に削った骨で端に穴を空け、蔓草の糸を通す。
「スキルって凄いのう!」
と、はしゃいでいたら一週間経っていた。
何しとんねん、ワシ。
――――――――――――――――――――
一週間後
「お、今日は大漁だな!こっちも木の実やキノコが大量じゃぞ!」
先に言っておく。
何も虚空に向かって話しかけてた訳では無いぞ?
ワシが話しかけた相手は・・・
「ガウッ!」
一週間前の熊じゃ。
此奴との出会いは3日ほど前にまた森でばったり出くわしてしもうてな。
お互いに気付いた時には目と鼻の先でワシは食われると思ったんじゃが偶々狩ったばかりの野うさぎを差し出すと腹が減ってたのかあっちゅう間に平らげおって、その後、何故か懐いたんじゃ。
それ以来狩りの時以外はワシから離れんし、今では寝食を共にしとるんじゃ。
「ちょっと待っとれ。今から焼くからの。」
不思議な事に此奴、自身が狩ってきたウサギだけでなく釣ってきた魚もワシが焼いた物しか食いよらん。
火を通した事による香ばしさにハマったみたいじゃの。
「お前さんも食うか?」
ワシは手の平に木の実を乗せ熊の肩に乗っている小鳥に差し出すとそやつも木の実を食べだす。
この小鳥はずっと熊に引っ付いとる奴で、よく熊とじゃれとる事が多い変わった奴じゃ。
「さて、腹も膨れたしステータスの確認じゃ。お前さん等はゆっくりしとけ。」
「ガウ。」
一通り食べ終わった小鳥もパタパタと熊の方へ飛んでいく。
こやつ等はたまにワシの言う事を理解しとるみたいで不思議であるが、此奴が人を襲わず良き隣人(隣熊?)で居てくれるならこれ程頼もしい仲間はそう居ないじゃろうな。
「さて、確認するかの。」
Lv3トミオ・ヤマベ 年齢:18
職業:放浪者 種族:アポストロス
HP 25/25
MP 20/20
SP 21/21
筋 11 5+6
体 11 5+6
知 9 5+3
精 8 5+3
器 14 5+9
敏 14 5+9
運 11 5+6
スキル:サバイバル5
直感力5
生活魔法3
加護:女神ディニティコスの加護
PT:熊(♀)
職業:放浪者
ステータス修正:筋+2体+2知+1精+1器3
敏+3運+2
サバイバル 5/10
直感力 5/10
生活魔法 3/5
熟練度ボーナス:火の火力UP
水の水力UP
土の硬力UP
ふむふむ。
レベルが上がっとるの。
これは熟練度が上がったからかの?
どうやら熟練度が上がる毎にある程度の経験値を手に入れてレベルアップするみたいじゃな。
ステータスの方は職業修正の分だけ基本値が上がる様じゃ。
スキルの方も修正が増えとるからその分ステータスが上がっとるの。
生活魔法の方はロウソクの火だったのが、火力が上がり火が着きやすくなり、チョロチョロだった水の勢いが水道の水ぐらいの勢いになり、触れていなければ発動しなかった土は今では2mまでなら狙った場所に穴を掘れる(30cm程で深さは1mぐらいまで)様になったぞい。
土は穴を空けるだけでは無く触れていれば石を色々な形にでき、土も固く壁の様にする事ができる様になった………踏み固めた程度の固さしかないがの。
そして組んだつもりは無かったのじゃが、熊とパーティーを組んどる事になっとる。
「ガウッ!」
熊が何かに気付いたらしく、不意に起き出してワシに警戒を促す。
「安心せい。ワシも気付いとるでの………」
気配………と言うよりこれは悪意?殺意ではなく、陥れようとかの感じじゃやの。
それを感じ暗い森の中をワシと熊が警戒しながら見つめているとそれはゆっくりと現れた。
埃や泥で黒ずみ、ボロボロになった外套を纏い、1mも無い明らかに刃こぼれしている剣を力無く引き摺りながら現れたそれは目は窪み虚空を見つめ、肌は痩せこけまるでミイラの様じゃ。
「此奴・・・朽ちかけじゃあて。スケルトンでは無いのう。ミイラの方が近いかの?」
ゆっくりと歩く其奴はこれ又ゆっくりと剣を振り上げた。
「・・・おっそいのう。ほれ。」
ボコッと其奴の着地する瞬間の足元に生活魔法でゴミ捨て用の広さも深さも30cm程の穴を空けてやるとそのまま前のめりに落ちよった。そこに熊が全体重を乗せた前足を頭に落とすとパキョッとした音と共に頭が砕け動かなくなった。
「何じゃったんじゃ、一体………………」
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