レンブラントの絵画のような世界観に恋という色を添えて

ずっと書きたかった。
念願のレビューです。

ほんとうに素晴らしく、美しいだけでない光と影の世界。わたしがどう説明しても、魅力はきっと伝えられません。

この物語は、色楽というシンプルなタイトルにも関わらず、内容がものすごく濃くて長くて失礼、重いです。でも読後感はとても良くて、いわゆる「ああ、明日からわたしもがんばろう」と思える活力小説だと思います。

途中ほんとうに暗くて(失礼パート2)それなのに、読む手が止まらないのは、ひとえに作者の力量の高さ(こんな陳腐な言葉じゃ足りない。力量云々で言うとこの人はもうプロですよ。お金とれる。断言する)と、この非日常に満ち満ちた世界を「常識」として描き切ることに、尽力した・・・いわば魂のようなものが感じられるからだと思います。

そして、この物語を薦める上で外せないのが、アーティスティックな感覚。

あまり書くと盛大なネタバレになるので最低限にしますが、色が鍵となる物語なだけあって、どの回もその回が持つ色のコントラストがすごい! たぶん狙ってるのだと思うけれど、毎回色が違うのです。ああもう、書けない。とにかく読んで。無料で読めるプロの本だから。

色が鍵と見せかけて、ほんとうの鍵は恋、なところにも注目してください。これはあれだよね。めっちゃ前半に出てくるからいいよね。

まさかそうくるとは・・・な、ラストを迎えます。

どのキャラクタも作者は愛しているなときゅっとくるラストでした。

この物語ぽくいうと、色を添えていますね。

あ! レンブラントの絵画。しっくりくる表現がありました!

この物語はもはや、レンブラントの絵画なんですよ!

レンブラントの絵画や、ユゴーの「光と影」という詩、読んでいる途中それらふたつが常にチラついていたのです。

傑作とか快作とか秀作とか、世の中に小説を褒め称える言葉は数多あれど、それらすべての言葉が霧散する。だってこの物語に、そんな言葉は要らないのですよ。

言葉が要らないのに、こんなに言葉を尽くして描かれた美しく残酷で儚く、最後には方々に希望の萌芽を感じる世界を、わたしは商業小説でも、数える程しか出逢ったことはありません。

出逢えてよかった。

描いてくれてありがとう。

作者に届けたい言葉はこれで、未読な方にはとにかく

「読みましょう」

それだけを言いたいです。

ああ! まだまだまだ描き足りない!!

編集にくるかもですが、とりあえずこれで更新ボタンをぽちり。

わたしもこれくらい描けるようになりたいぜ!!!