第3話 二人のBL

 なりと付き合って半年ほどたったある日恐れていたことが起こった。

 

 なりと俺とのBL初対決。

 色々と仕事等が忙しく電話を掛けられないでいたが収録日前日になってやっと文句の電話入れられた。

 

 「もしもし!なり!おま、なんで断らないんだよ!」

 「まってよー夢ちゃん!なんの話?」

 「BLに決まってんじゃん!お前ならそろそろBL断れるだろ!」

 「別に夢ちゃんとだし、いいかなぁーって」

 「よかねぇーよ」

 「まぁまぁ、そんな怒んない怒んない!」

 「でも」

 「まぁ、収録明日だし今言っても仕方ない。でも、夢ちゃん攻めでしょ?いいんじゃん!」

 「それはいいけど」

 「本当は受けの方が向いてるのにね」

 「は?黙れ!」

 「そんな、怒らないでよー!今から夢ちゃんに会いに行ってあげるから」

 「まぁ、それならいいけど」

 

 俺も相当なりのことがすきなんだなぁ。家に来るって言われただけでもうれしい。

 

       『ピーンポーン』

 

 はやっ!どこに居たんだよ 

 

 「はーい」

 「夢希斗くんいらしゃいますかー!」

 「居るに決まってるだろが!てゆか、出てるの俺だし!」

 「あっ、夢希斗くん!」

 「なんだよ!今気づきました!的な顔して!」

 

 なりのやつテンション高いな。

 

 「なり?どーした?テンション高いな」

 「べ~つ~に」

 「なんだよ!」

 「いや~やっと夢ちゃんとBLできるなぁーって」

 「なんだよそれ!それより、そんな話玄関でしてんな。はずかしい!」

 「わかった、わかった」

 

 扉を閉めた瞬間に扉に押し付けられキスをされた。

 

 「どーした?やっぱりなんかあった?」

 「なんもないよー!明日の収録でたたせないために」

 「いや、仕事してるときに立たねぇだろ!」

 「分かんないじゃんなにがあるか」

 「まぁ、そーだけどよ。どーせなら台本読み合せするか?どーせ、こっからスタジオ行くつもりだっただろ」 

 「えっ・・・この雰囲気でそれ!」

 「だって、明日それ終わったらオフだせ!お前は?」

 「まぁ、オフだけどさー」

 「飲みに行こうぜ。最近あの店行ってなかったじゃん」

 「まぁ、そんなとこも夢ちゃんらしくてすきだよ♪」

 

 語尾に音符とか・・・

 

 「う、ありがとう。」

 「じゃー、さっそく読み合せやろっかー」

 「さすが切り換え王子」

 「でしょー」

 

 

 

 昨日は読み合せをし同じベッドでは寝たがそれ以外は何もなく少し期待していた自分を恨んだ。

 でも、なりと朝から同じ現場というのは少なく一緒にスタジオに行けることが少しうれしい。

 

 

 「なーりー?準備できた?」

 「ゆーめ!もう少し」

 「早くしねぇーと遅れるよー」

 「わかってるわかってる」

 

 「よし!出来た」

 「忘れ物ない?」

 「ケータイ、台本・・・OK!ないよ!」

 「じゃー、行くぞ!」

 「は~い!」

 

 電車で行く予定だったがギリギリだったのでタクシーで行くことにした。

 

 「おい!お前のせいで遅れそうなんだからタクシー代だせよ!」

 「わ、わかったよ」

 

 不満そうな顔のなり!お前のせいで遅れそうなんだよ!

 

 「なに?なんか不満?」

 「べ~つ~に」

 「8対2でもいいぞ」

 「そ、それで」

 「じゃー、決まりな。」

 

 

 タクシーで来たおかげかギリギリ時間に間に合った。

 

 「はよー、ございます」

 「はよー、ございます」

 「おう!おはよう」

 

 どこからか、明らかに知ってる声がでも、今日の収録は二人だけだって・・・

 

 「俊也さん!?」

 「社長!?」

 

 なりと俺の声がハモった。

 

 「流石ですねぇー、息がぴったり」

 「別にそこまででも」

 「で、なんでまた俊也さんがここに」

 「事務所の稼ぎ頭と可愛い夢希斗くんとの初対決を見に」

 「俊也さん!俺はかわいくないです!」

 「そーです!社長、夢に可愛いって言っていいのは僕だけです!」

 「へぇーへぇーラブラブですなぁ」

 

 俊也さんは俺もなりもお世話になっていて後から迷惑をかけるといけないので俺たちが付き合ってることをカミングアウトしている。

 

 「すいませんー!そろそろテストいきま~す!」

 「はーい!」

 「りょーかいです」

 「まぁ、二人とも頑張れよ!」

 『はい!』

 

 今日の収録は『男魂は学びたい』ってやつで珍しく口が悪いヤンキー役だ。

 思ったより、絡みが多くてなりの声がやばい。

 

 「次で絡みラストですか?」

 「あぁ、そーですね」

 「すいません一旦休憩とっていただけますか?声が・・ ・」

 

 なりの声がつぶれるとのことで少し休憩をとった。

 

 「なりー!お前ヤバいな」

 「なにがー?」

 「そんな声を秘めていたとは!?」

 「普通だよ~」

 

 「そろそろ本番入りまーす」

 「はーい」

 「ラストスパートだから頑張ろう」

 「おう!」

 

 

 やっと収録が終わった。

 

 「お疲れ様でした」

 「お疲れ様でしたー!」 

 『お先します』

 

 

 「誰も俺たちが本当に出来てるなんておもわないんだろうなぁ」

 「そんなこと誰が思うかよ」

 「だよねぇー、でもいいんだ。みんなの知らない夢ちゃんを知ってることが僕はうれしい」

 「俺もお前が側にいてくれるだけうれしい。」

 

 この笑顔、優しい声の天瀬成翔の隣にいつまで居れるようにと願う。

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二人の距離 杏璃 @You-me

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