ep:8背後の敵

気が付いたら1時間目が終わっていた。20分も寝てないと思うが、よく寝たという感じがする。


 2時間目はスマホを見つつプリントをやっていたら、Airdropで何か画像が送られてきた。


 見てみると、「後でJ科研究室に来なさい」とあった。


 めちゃくちゃびっくりして周囲を見回すと、隣の鈴木がクツクツと笑っていた。


 こんの...と思い、

「おーお前そういうことすんだなお前俺はお前許さんぞお前。」と最後通牒を突きつけた。


 我が軍の基本戦術は画像にて敵の横隔膜を痙攣させることである。我が隊はこの基本方針に従い、クラスメイトのクソコラを複数枚、有名なコミックのクソコラを複数枚送りつけた。


 敵の様子はどうだ、と伺うと、腹抱えて笑っていた。

「は、腹痛ぇ、ダメだ死ぬぅ」

 と言って肩を震わせている。ざまぁ見やがれ。日本の勝利である(脳内イケボ)。


 と思っていると、

「まーだ負けてねぇぞぉ、我が方は不滅であるゥ。」

とまだ息を切らせていながら反撃の宣言をいただいた。


「無駄な足掻きだ、諦めろ。」

「いーやまだやらせてもらうぜ。」

「おう、じゃあ来いよ、やれるもんならやってみな。」

「あーそういうこと言うのなお前。覚悟しとけよ。」


 次はなんだと思っていたら、えらく重いデータが送られてきた。動画のようだ。


 今月は使用データ容量を5GBに抑えようと思っていたが、勝負なら仕方がない。涙を飲んでダウンロードしよう。


 Twitterで出回っていた動画のようだ。授業中であるため音は出せないが、送ってきたということは無音声でも大丈夫なのだろう。


 スマホを横にして再生ボタンを押そうとしたら...。


「はい、あとで物理研究室に来てね♪」


 背筋が凍る。サイコフレーム搭載機のごとき反応速度で振り向...くと目立ってしまう。警報を鳴り響かせている本能に抗い、できるだけ普通な状態を装い後ろを向くと...。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る