過去から未来へ。

古い神殿へとたどり着いた負傷兵フィルに対し、彼を介抱してくれたクオと名乗る老人が、かつてこの神殿で何が起こったのかを語る形で物語が進んでいく本作。

戦争に支配され文明が二の次となってしまった近未来において、クオとベルン、二人の少年を中心に物語が描かれていきますが、待ち受ける運命は辛いものです。世が世なら、幸せな未来もあっただろうにと思わずはいられません。

回想に登場する兵士の不気味さもとても印象に残っています。
どことなくファンタジーを感じさせる世界観において、兵士は文字通り機械的。近未来的要素とファンタジー要素の共生が、戦争に支配され文明が二の次となってしまった近未来を如実に表していると思います。
恐ろしくもあり、同時に物語として魅力的でもある世界観です。

終盤で希望が見えたことは救いでした。
彼の行動によって今後世界がどれだけ変わるかは分かりませんが、語られた過去によって新たな未来を拓ける可能性が生まれた。素晴らしいことだと思います。

とても考えさせられる作品です。
是非ご一読を。

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