カクヨム書籍化クラウドファンディング機能の提案

結城藍人

カクヨム作家収益化の一提案

 2019年4月1日、カクヨムの新しい方針が発表されました。


 「Web小説を書く人が直接収益を得られる環境作り」に挑戦していくのだそうです。


 そこで、ひとつのアイデアを思いつきました。


 読者がお金を出すことで、作品を書籍化する機能を実装して欲しいということです。


 実は、類似のものは既に社会的に存在しています。「クラウドファンディング」と言います。


 「これがやりたい」というアイデアを出した人に対して、それに賛同する人がお金を出すシステムです。Web上で広くアイデアを公開して、広く投資を募るんです。


 実際、昔の漫画の続編を書きたいという漫画家が投資を募って、新作を書くようなクラウドファンディングは既に行われています。投資した読者は、本になった漫画を貰えたりするわけです。


 実はカクヨム出身の小説で、このクラウドファンディングを使って宣伝やイベントを行った例もあります。こちらです。


https://camp-fire.jp/projects/view/60717?utm_source=cf_widget&utm_medium=widget&utm_campaign=widget


 こちらは宣伝でしたが、個人で自費出版の投資を募ることも可能でしょう。


 ただ、やはり個人でクラウドファンディングによって自費出版を実現するのにはハードルが高い。そもそも、カクヨムユーザーでクラウドファンディングを知っている人間がどれだけいるのかという問題もあります。


 そこで、カクヨムです。カクヨムのシステムとして「書籍化投資」という機能を付けて欲しい。


 「書籍化投資」機能は、カクヨム投稿作品のどれにでも追加することができるシステムにします。「小説管理」の「作品情報編集」でオン/オフを選べるようにすればよいでしょう。


 そして、オンにしておくと、読者が「書籍化投資」ボタンをクリックできるようになる。


 この「書籍化投資」ボタンをクリックするには、読者の方でもカクヨムにクレジットカード登録または、有料ポイント登録が必要になります。有料ポイント制度の方がいいかと思います。クレジットカードまたは電子マネーでカクヨムポイントを買っておくんです。1ポイント1円で。そして、例えば「書籍化投資」ボタンをクリックすると1000ポイントが使われます。


 1口1000ポイントだったら、100人集まれば十万円、1000人集まれば百万円です。


 さて、私は出版ではないのですが、それに近いところで仕事をしているので、実は印刷製本費はそれほどかからないことを知っています。特に、少部数の場合はオンデマンド印刷を使えば、それなりの見栄えの本が、結構安く作れます。


 つまり、印刷製本に必要なだけポイントが貯まったら、それで実際に本にして、投資した人に配れるんです。


 これが本当に1000人から投資を受けられたら、より高品質なオフセット印刷も可能です。1000部刷るならオフセット印刷の方が安くなりますから。


 もちろん、ただ印刷に必要な金額だけでは足りません。カクヨムも手数料を取らないと利益になりません。サイト運営費すら出ない。何より、一番高いのは人件費ですよ。人はタダでは動かない。


 そして、せっかく本にするなら表紙にくらいはイラストも欲しい。これもプロに依頼する費用が必要です。ハイアマチュアに依頼する手もありますが、それでも費用は必要でしょう。


 当然ながら、投資した人たちに完成した本を送る発送費なども必要になります。梱包とか、宛名の伝票印刷だって無料じゃないですよ。


 最後に、作者への原稿料も当然その貯まったポイントから支払われます。


 こういった、必要な諸々の費用については試算が必要ですが、KADOKAWAグループなら当然そういった情報もノウハウも持っているはずです。


 ですので、実際の書籍化について、必要な費用から段階を付けておきます。


(1)少部数自費出版

 100~300口程度の投資で実現可能。イラストは表紙のみ。


(2)中部数自費出版

 300~1000口程度の投資で実現可能。イラストが複数入る。


(3)大部数自費出版

 1000口超の投資で実現可能。イラストが複数入りオフセット印刷になる。


 仮に5000口超えたら、自費出版じゃなくて本当に書籍化ですよ。初版5000部オーバーで一般売りできます。


 クラウドファンディングなんで、投資達成期限は決めておく必要があります。その期限内に投資が集まらなかったら、ポイントは読者に戻されます。


 読者は、1000円という、ちょっと厚手の単行本型ラノベ買うのと同じくらいの費用で、お気に入りの作品を書籍にして手元に置くことができます。


 作者は、もちろん自分の作品が本という形になるという夢をかなえられるだけでなく、少しであっても原稿料が手元に入ります。


 カクヨムは仲介手数料を取って収益化することができます。


 こういうビジネスモデルはいかがでしょうか?


 可能性があるなら、ぜひ検討していただきたいと思います。

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