足に力を、手で床を

 五万字。口にするのは簡単かもしれないが、書くのは恐ろしい労苦だ。もっと恐ろしいのは、何万字書こうが結果に直結する保証はないということだ。およそ創作を実行する人間は、つい、自分の払った労苦と実績とを直結させたがる。
 バーグさんのああした人格設定は、控え目過ぎると陰気だし度が過ぎるとただの侮辱だろう。AIとしてはまだまだ調整が必要だ。
 そんな時、詠目を持つあの少年がもたらす物語は、創作者にとって砂漠に湧水のごとき存在となる。