2番目位が丁度いい位置
さつゆめ
第1話
今日と言う日こんな日が来るなんて
思わなかった。
「おめでとう!」
「おめでとうございます。」
「南さんすごいですね〜」
そう…私は今月顧客様のお陰でー
バッグの売り上げがグループの中で1位に。
その上私が案を出したデザインバックも
総合1位にー。
ここにポケットがあるといいな〜
これ位の大きさがいいな〜
とか色々思い付いたので、
ほとんど応募した事かなかった企画デザイン案に応募したら、採用されてー
まさかの結果に…
こんな事になるなんて!
思いもしなかった。
そう!だって…今までいや今だって…
そう言う風に生きて来たからー
大げさかもしれないけど…
ずっとそう言う生活して来た。
私は自然とずっとそうだった。
無意識に当たり前ように、
目立たないように…
なんでも2番目位を選んで来ていた。
同期会と勝手にみんなで名前を付けて、
月に一回位…
気心の知れた仲間との飲み会がある。
ちょうど今日がその日。
仕事後、いつものアットホームな雰囲気の
居酒屋さんで集まる。
仕事終わった順に自由集まる。
いつも通り盛り上がってる!
口々に自由に話してる。
けど…私は代わる代わるに…
聞かれる…いつもと違う…
「サナすごいよねー
秘訣とかあるの?」
とか…
「サナいつの間にアイデア考えてたの?」
「南すごいなー」
「本当におめでとう!」
ほとんど1位になった仕事の話だった。
こんな日あるんだなあー
変な感じ…
実感がない。
「また集まろうね〜」
「仕事場でねー」
「お疲れ様」「お疲れ!」
「おやすみ」「気をつけて帰ってね〜」
『おやすみなさい」
口々に挨拶して帰って行く…
今回も楽しかったなー
でもなんか居心地がいつもと違ってて違和感だった。
最寄りの駅に着いたらー
あーやっぱり最終バス終わってた!
タクシー乗り場並んでるな〜
やっぱりこうなる…
「良かったらー空車ですよー
乗りませんか?」
あっ!タクシー黄色…ゴールドぽい色の
見慣れない…見た事ないような…
けど…タクシー。
並ばずに乗れるのは有難い助かる!
運がいい!
「お願いします。」
30代前半位のスマートな感じの男性運転手。
後ろ姿…
見た事あるような…先輩に似てる…
「ふーん」
いつもと違う環境だったせいで、
いつも違う疲れが出ていた。
「どうかされましたか?」
「うーん」
「お疲れのようですね?」
優しく話かけられてー
聞き覚えのある声?
ホッとしたのか…癒されたのか…
ついつい私は話始めた…
心の中の…思ってた想いを…
「私今回初めて、成績が1位になって…
今まで目立つ事が苦手な私は…
そう言う事は避けて来た。
目立つのが恥ずかしいのもあるけど…
だからと言って下の方も嫌で…
2番目から真ん中位までがちょうど良かった。
楽だった。
小学生の時…
歌う事が好きだったので〜
合唱部に入ってた。
すごく熱心な子も居て、朝練出てたりしてる子も居てた。
朝練出たい気持ちはあるものの…
でも…
目立った事特別な事したくないしー
それで重要なところ任されなかったらー
なんか恥ずかしいし…
特別な事はせずにみんなと一緒に練習して…
普通のポジションで合唱部の1員として居てた。
集合写真でも真ん中でも前とか、
後ろでもなく…
前から2番目の端から2番目位の位置で
写るようにキープしていた。
就活中のワーキング体験で
好きな順番に席に着く時も、
順番に当てられたり、
自己紹介とかあったりするかもしれないと思い…
後ろから2番目端から2番目で、
ちょうど良い辺りで回ってくるように考えて
座ってた。」
運転手さんがうんうんと頷いてくれている。
「好きな人が出来たり、彼氏が出来たり、
する時もそうだった。
仕事し始めた頃ー
1番好きな人が居て…
先輩なんだけど…言えず…
みんなの人気者だったら特に…
私は興味ないみたいな雰囲気を出してた。
次に良いなって思っていた2番目位の同僚の男性に告白されて、
この人だと自分が必死にならなくて済みそうだし、楽かもしれないって思って…
付き合った。
遠距離になると決まった時、
2人の中も少し離れてきてたから、
フラれるかもしれないと思っていた。
まだ好きな気持ちもあったけどー
傷つくのを恐れて回避したくて、
本命ではなかったし…自分に言い聞かせて…
フラれるくらいなら私から言おうと」…
何故か…
話してる内にー
うーん眠くなってきた…
瞼が重い…
聞いてもらって…
少しスッキリしたのか…
ホッとしたのか…
私ついついベラベラと見知らぬ人に…
「着きましたよ!
起きて下さい!ここで大丈夫ですか?」
「うーんうーん
あっ!はい!ありがとうございます。」
あれ?
運転手さんが違う⁈
料金を払って、
「ありがとうございました」
降りてタクシーを見てー
えっ!白色のタクシー⁈
どういうことだったのか?
誰と話してたんだろう…
でも…少し気持ちが楽になっていた。
「おはようございます」
いつも同じ朝がやって来た…
はず…だった…
「みんな集まって!」
「はーい!」
「今日からこのグループに配属が決まった
内村明信さんです」
「内村です。よろしくお願いします。」
先…輩…⁈
「サナよろしくな!」
私がワーキング体験の時、
私が入社して研修中で指導してくれた先輩。
1番好きだった先輩。
まさかまた一緒に仕事出来るなんて!
うーん…
もしかして…黄色のタクシーの…
あの後ろ姿…
昨日出会った…と思った…運転手さん…
先輩…
いやいや〜そんな訳ないよね〜
結局は白色のタクシーだったし…
けど…
昨日のあの不思議現象は一体な何だったんだろう。
みんな先輩の周りに集まっている。
近付きたいけどー
「サナ!」
先輩…近付いて来てくれた!
「色々教えてな!新人だから!」
変わってない!よくそんな感じで言って来た。
なので〜
「イヤですよー先輩!」
って以前と同じような感じで返した。
以前は絶対言えなかったけどー
今は思い切って!
「今日一緒にお昼休憩にランチ行きませんか?」
「いいよ!行こ!」
勇気出して言えた!良かったあ!
先輩が私の何かを感じとって…
「おめでとう。
たとえ1位になっても今まで通り居るのがいいと思うよー
よく言うだろ…宝くじで1位とっても変わらない生活することが大切って〜
ちょっと違うか?」
強引なたとえだけど…妙に納得してしまう。
以前もそう思った。
「それに〜一生懸命になってすることも大事だと思うよ!
結果がどうであってもどう思われても、
自分で悔しくて泣いても、大喜びしても、
その方がスッキリして悔いが残らず!
前に進めると思うよー
今回の1位はきっとサナに考えるチャンスを与えてくれたのかもな!
悔いなく前に進める勇気を…」
余りにも的を得てる…今聞きたい言葉を言ってくれて、泣きそうになる〜
「いつも自分に自信持てって言ってるだろう。」
「うん!」
私はうん!と答えるのが精一杯だった。
先輩すごい…昨日やっぱり話聞いてくれてた?
まさか…そんなはずないよねー
タクシーの運転手さんな訳ないもんね。
私は昨日ホントにー誰に話をしてたんだろう。
先輩には私の今の不安な気持ちバレている…
なぜかわかってくれる人…
前からそうだった。
ポカンとしてる私に…
「まあーなー
そんなサナが良かったり可愛かったりするんだけどな!」
えっー!
「さあ!仕事仕事!お互い頑張ろ!な!
ランチ楽しみしてるからな〜」
「は…はい!」
びっくりした!うん…
少しずつ…今の先輩の話を聞いて…
気持ちが固まったら〜
グループリーダーが…
「みんな〜
今日も予算達成目指して頑張りましょう!」
よし!決めた!
今度こそきっと先輩に気持ち伝えよう!
後悔しないように…
たとえ…傷ついても…泣いても…
悔い無し!
っと言えるように。
そう言っても急に性格は変わるものではないけどー
一つ言えてるのは…
これかが楽しくなりそう!
一喜一憂することもあると思うけどー
そうだあ!
海外向けのバッグの企画応募しようと思ってたんだった。
着物の生地を1部分だけ取り入れて〜
その案を具体的にまとめよう!
「南さんなんかイキイキしてるねー
その調子で今月も頑張ってねー」
リーダー…
「はい!また企画出来上がったら見て下さい。
お願いします。」
「オッケー」
先輩が側に居てる生活が戻って来て
幸せだなあ〜
「南さん!
お客様ですよー」
「はい!
いらっしゃいませ」
あー!こないだ私かデザインしたバッグをお買い求めして下さったお客様〜
「こないだはーありがとうございます
何かお困りの点でもございましたか?」
「いえいえ〜お礼を伝えてたくて」
えーお礼を⁈
「このバッグを持ってると不思議なことが
起きて〜
ごめんなさい。
変なこと言ってって思いますよねー
でもーお陰で再会した相手とスピード結婚することになりました。
最初…
まさかこのバッグがとは思ったのですが…
同じように購入した友達も同じようなことが
起きて〜
伝えに来ました。
幸せになるバッグかもしれないと思い…
ありがとうございます。」
「そう…そうなんですか?
おめでとうございます
びっくりしました。けど…
ありがとうございます。
そう言って頂けてとても嬉しいです。」
あまりにもびっくりして!
あまり言葉が出なかった!
状況が飲み込めなかった。
そんな事ってあるのかな〜
喜んで使ってもらってるのは嬉しいけど…
機能性がある上に可愛いさをしっかり取り入れて〜
自分が持ちたいと思うバッグのデザインを
提案しただけで〜
初めて採用されて〜
不思議なことが…
きっと偶然よねー
でも…でも…
私もこのバッグ持ち歩くようになってからー
先輩と…
まさかね〜
いや〜まさかね〜
まさかね〜こんな日が来るとは…
「おめでとう!」
「おめでとうございます。」
またもや私は…
「オレの顔に何か付いてるか?
さっきからじっと見てるけど〜」
「ううん 。ううん。 」
こんな日が来るなんて!
みんなの憧れの私の中で1番大好きな先輩と
結婚式をしてる!
フッとバッグの事を思い出していた…
まさかね〜
いや〜まさかね〜
2番目位が丁度いい位置 さつゆめ @satsuyume
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます