Last Of 3minute

未来告 夜衣香ーーみくつ やいかーー

3分間の香りはとても素晴らしい

真っ暗に包まれた世界で俺は生まれた。


ーーーーーー

始まりはいつも意味不明で理解することなんてできないけど、それでもすごく長い時間をかけて考えて考えて、結局理解なんてできないのに、終わりは無慈悲に突然起きる。


そう考えたら俺はまだ3分間も残されていたのだからまだ幸せだと思うべき…なのだろう。

ーーーーーー


右を見ても左を見ても光源は無くただ闇が広がっているだけ。身動きの取れない中で俺はただただ物思いにふけっていた。


視界は真っ暗で分からない

光がないこの空間で生まれたわけではない、そう感覚では分かっているのだが、物心ついた頃から俺はここに居た。


周囲は磯の香りに包まれているのだが、

触れてわかる乾燥した大地、実際にはまるで木の根が張り巡らされているような感触だった。

それに、かなり脆いようで少し力を入れてしまえばあっという間に砕けてしまうように思えた。


どうやら俺のいるこの暗闇の空間は割と狭いようで、傾むいて転がってしまうと、他の誰かとぶつかってしまう。だがお互いに言葉を発することはできないようで挨拶さえもできやしない


その為、ときどき誰かの上に乗ってしまうのだが、相手の事も全然分からないため、なんの感情も沸かない。


ただ自分以外にも居たのだと思う程度であった。


しかし、最近は少なかった地震は今日かなりの頻度で発生しているようだ。


たまに浮遊感を感じることもあるし何よりビリビリと雷のような音まで聞こえる始末だ。


どうやらこの世界が終わってしまうのだろう…なんとなくだが感覚でわかっていた。しかしそれでも希望を持ってしまう心があり、曖昧な自信だけがあった。


…この時までは


ガコッ

と強い振動と共に光が差し込む。どんどんと光は強くなっていく


空の真ん中までが開かれる形で強い光が差し込み、俺の目は眩んだ。


その瞬間、俺の脳裏には俺の人生が走馬灯のように駆け巡った。


この真っ暗な世界で目が覚め、

数十日は過ごしていた気がする、

その間何度も大きな地震があったがそれでも俺は生き延びてきたのだ、

だから今回も大丈夫なはず…と

俺の心にはまだら余裕があった


しかし…

光が差し込んだその場所から一気に大量の水が流れ込んだ

水…じゃない!熱湯だ!!光を遮るようにしてバケツを返したかのような熱湯がドプドプと注がれていく。


乾燥しきっていた俺や大地に一気に浸透していく。そして唐突な熱湯はピタリと止まった、すると再び闇が世界を支配した。


ふぅ…助かった…


いや。


暑い、熱い、あつい!!あついあつい!!!


熱湯が冷めない!捌けていかない


そ、それに

しずっ!沈んでっ沈んでいくぅ!!!

大地に浸水しすぎてもろくなってしまったみたいだ。


大地が沈み体が熱湯へと消えていく

どんどんと濁った熱湯の中に沈んでいく


だが俺の意識は消えることはなかった


熱く苦しい時間は

3分間も続いた。


ーーーーーーーー


ピピピピピピピピ


ビッ


パキッ


ふーふー


ズズッ ズーーーーッ


「うーん、やっぱりシーフードが一番だなっ」





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Last Of 3minute 未来告 夜衣香ーーみくつ やいかーー @mikutu-yaika

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