桜の花びらの栞は、まるで記憶のタイムカプセルのようだった。
- ★★★ Excellent!!!
誰にとっても、時間は有限である。しかし主人公と彼にとっては、その時間の期限は短すぎた。短編であるが、四季折々の二人の様子が丁寧に織り込まれている。
例えば桜の散り始めに、その一枚を本の栞にしたこと。
夏の海と雨の日のこと。
秋の銀杏並木が立てた音。
冬に二人で作った雪だるま。
また季節が廻り、二人で桜の栞を探す。
そこで、二人の時間は――。
この二人ならば、有限の時間を、永遠に出来たはずだ。
そう感じずにはいられない。
是非、御一読下さい。