愛に『普通』があるものか

 「できない」「やるな」と言われれば、したくなるのが人の性。それはそれとして、好きになったものに突っ走ってしまうのは、人として無理からぬことだろう。たとえそれが、社会的に受け入れられぬことだとしても。本作はそんな、社会を敵に回しかねない愛―――血の繋がった兄妹間のラブコメである。
 なんのかんのと理由はあれど、タブーとされている三親等内傍系血族間の結婚。カミングアウトされたとして、「応援はするけど、難しいと思うぜ」と無難な答えを返すしかない、そんな問題。引くか引かぬか微妙なところを、しかし本作は突き抜ける。好きなんだからしょうがないと。愛に障害は付き物だと。そのあまりにも純粋な想いに、「あれ、なんで駄目なんだろう…?」と気づけば思わされている、そんなパワーがあった。
 法律だのなんだの、そんな問題をねじ伏せそうな、力強い純愛が感じられた作品だった。賛否両論当然あろうが、私は応援したいと思う。