用語がわからずとも無問題。新たな世界が開かれます

2020年2月6日現在の最新話、「アステリア学園中等部二年
友情危機一髪  腐令嬢、なりきれず」まで読んでの感想です。

およそ37万字を、数日かけてほぼ一気読みしてしまいました。
だいたい文庫3~4冊分くらいでしょうか。

正直に告白すれば、普段悪役令嬢ものも漫画で1~2冊読んだくらいで、
そもそも乙女ゲームをほとんどやったことがありません。

そしてBL、これもまた一時期読んでいたこともありますが、
ここ最近の流行などはさっぱりわからずというくらい、
恐らく読者としては作品との距離がありすぎる位置にいると思います。

ですが、読む手が止まらず、最新話を読み上げるまではコメントも書くまいと(コメント欄も面白すぎて)、ただひたすらお腹を抱えて時に笑いが止まらなくなりつつ読み上げることができました。

面白い物語は、たとえ使われている言葉がわからなくても読み続けてしまうという経験は、読書を始めた当初のことを思い出すくらいです。

正直、主人公たちの話す言葉は、当初かなりちんぷんかんぷんでした。
でも、それすら勢いと語感だけでほぼ乗り切れます。

ときに検索をして、そんな意味があったのかと(くっころごっこなど)、
普段目にも耳にすることもない用語を覚え、主人公のBL熱意にのけぞりつつ、
笑い転げてハマっていく少女や大人たち? と一緒に新たな萌の世界を楽しむことができました。

そう、この物語はもともとBLを知っている人だけでなく、
むしろ縁遠かった人にもお勧めします。

なにせBLを毛嫌いするヒーローという対極の存在も登場するからです。
BLを愛するヒロインと、微百合を求めるヒーローの対立が緩和されることはありません。

ですがこの二人の罵倒対決ももう芸の域に達しています。
BLや百合という新たな世界以上の、こんなコメディあったのか! という驚きと、キャラクターたちの強い強い個性に、一人はきっと気に入る(もしくは似たような趣味嗜好の)キャラクターがいるはずと太鼓判を押したいと思います。

そして改めて受賞おめでとうございます。
本の形になった時、どんな進化を遂げているのか。
またコミカライズも予定されているとのことで、キャラクターたちが絵となって活躍するのを楽しみにしたいと思います。

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