戦が変わる。
剣が変える。
力を宿し、女に宿り、
確率により顕れる、
その名も◆精剣◆、覇の要。
戦が果てて、
世が荒れ果てて、
なお民草に塗炭の苦。
訪れたのは平和に非ず。
世を統べたのは秩序に非ず。
◆力◆と◆力◆、■欲■と■欲■、求め諍う剣士たち。
悲嘆の野、
絶望の原、
弱きの涙、
強きの傲。
かくも翳りし世を渡りゆく、
旅芸人の馬車一つ。
◆力◆のさばる只中に、
◇笑み◇を育み希望を灯す。
◇愛◇とは押して奪うに非ず。
◇笑み◇とは押して作るに非ず。
いわんや◇幸◇においてをや。
通りがかった先々で。
時には剽げ。
時には和を説き。
優しさを持ち。
民に寄り添い。
忍ばせたるは――真の顔。
傍には◆精剣◆。
身には◇御流儀◇。
□智□を駆り、◇技◇駆り、■悪■を刈る。
◆力◆など無為。
■格■など無意味。
当てねばただの虚仮おどし。
落ち着け。虚を衝け。隙を衝け。
勇気を奮え。
◇愛◇もて挑め。
頭を絞れ。
裏を掻け。
要の刹那。
◆抜剣◆の時。
◇心◇を強くし、
□技□をぞ極め、
□体□もて語れ、
その□信□と◇愛◇。
彼の◇女神◇の宿りしは。
■運■には非ず。
■格■にも非ず。
ましてや◆力◆などでもない。
大切なひと。
愛しい心。
認めてくれた、その事実。
――いざ覆せ。
この一振りに、
全身全霊、
渾身総身、
あらん限りの◇愛◇をぞ注ぎ。
――その笑顔にて世を照らせ。
◇女神の白刃◇
覇でなく、義でなく、理でもなく。
◇愛◇こそ唱え、征く旅一座。
この人の作品は、森のなかの根っこの深さや密度が段違いです。
インプットしてきた知識量がちがうから、さらりと書いているように感じる場面も、じゃあ自分が書けるかって言うと絶対無理。
書籍で繰り返し読みたいなぁと思わせる「強い」作品です。重くないのに。
強いスキル、レアな精剣こそが価値がある世界で、主人公は最初から唯一無二の人エルと彼女に宿る精剣を持っています。強いスキルでもレアな剣でもないけど、「これこそが最強」と信じている主人公は最初から勝ってるも同然。
主人公の強さと魅力にはそれだけの背骨があるから、不敗でもチートを感じさせません。
この先のクライマックスが楽しみ。
作者の軽やかな筆致に積み上げられた知識量という土台があるのと同じように、主人公の強さにも土台があるってわけだ。やるねえ。
軽快でありながら一本軸の通ったファンタジー、ぜひ読むべしです。
私は82話〜が好き。