―Continue to the next volume―

 宴は続いていた…。


 ギルド・パイオニアにて行われている慰労会の席には、総勢100名ほどの狩猟者や近親者、または、招待者が、6人から8人で一つの丸いテーブルを囲み、その丸テーブルが10個ほどランダムに置かれている席にて、『アバァ』討伐戦の慰労を労っていた。

 丸テーブルが置かれている空間の上座には、今日の卒業試験を終えた面々の姿が見え、レニィ、トルースとケビン、オースティにベンネル…、そして、チャ子の姿があった。


 チャ子の傍らでは、アサトが大きな笑みを見せて笑っている。

 その周りにも、アサトの仲間が顔をそろえていた。

 アリッサにケイティ、システィナとタイロン…。

 その風景を横目に見ながら、フードを目深にかぶったモノが、妖艶な笑みを見せていた。


 「お嬢さん…誰かの連れかい?」

 丸テーブルの席、フードの者に声をかける、顔が赤く、ろれつが回らなそうな男が話しかけて来た。

 「えぇ~、に招待されたわぁ~」

 フードの奥から、男を見たモノは、小さく笑みを見せてコップの飲み物を口にする。

 「…そっか、あんたベッピンさんだから、そうとは思ったけど…なに飲んでいるんだぁ?エールか?ワインか?」

 「ごめんねぇ~これなのぉ…」

 お腹を擦って見せたモノ。

 そのお腹をみた男は、「かぁ~、参ったね…、そう言う事ね!…んで、その子の親父は誰だい?」

 男の言葉に小さく笑みを見せる。


 「…もう、ココにはいないわぁ~。それに…そろそろおいとましようとおもっていたから…」

 「そうなんだ…、そりゃぁ~悪いことしたな…。連れと言っていたが…呼んでこようかぁ?」

 男の言葉に、小さく顔を上げたモノは、妖艶な笑みを見せると立ち上がり、手にしていたカップを男に渡した。

 「ありがとうぉ。いいわぁ~、一人で帰れるから…、それに…」

 ゆっくり出入り口に進みだし、小さく振り返ると…「ココで呼んだら…死人が出るわぁ~」


 「…え?」

 男はその言葉に目を見開き、フードのモノを見てから…、息を呑むと大きく笑いだした。

 「がはははは…それは、面白い冗談だね。もしかして…、あんたを取り合った男らがまだまだいるって事か?」

 「ふふふ…そうね…。わたしの大事なモノをぉ…奪おうとする人たちでねぇ~」

 そのモノは出入り口へと進むと一度、振り返った。


 そこには、大きな声で笑っているアサトと仲間らがいた。

 そのアサトらを見て、小さく笑みを見せると、扉を開け、ゆっくりとしなやかに出て行った…。


 時は…、クレアシアン討伐戦3日前の、『アバァ』討伐戦終了の夜であった……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

遥かなるアブスゲルグ Ⅵ -2つの卒業試験編 『ネシラズ』と奴隷商人- さすらいの物書き師 @takeman1207

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ