読後の、なんという静かで、優しくて、切ない余韻。
胸がきゅっとするけれど、でもとても温かな気持ちにもなりました。
夜のバス停。雨まで降っている。そこに、ぽつんと人が一人、いたとしたら。
その人が、今にも辛そうにしていたら。
手をさしのべることは出来るのか。静かに寄り添って、話を聞いてあげることは出来るのか。
私は多分、悩むだけ悩んで、結局黙ったままになってしまうだろうなと思いました。この小説を読むまでは。
この先会うことはないであろう、見ず知らずの、とても辛そうにしている人。
自分がほんの少しだけでも話を聞いてあげたことにより、その人の苦しみがほんの少しでも取り除かれたら、それはどんなに素敵な事だろうかと感じました。
助けを求める見知らぬ人。その人の傍に寄り添う勇気を後押ししてくれる、
そんな小説でした。