私は、こんなにハゲについて、深く感動したことはなかった

 私は、この作品を読み、ハゲについて感動し、励まされた。将来、夫がハゲた際には「大丈夫だ。君は進化しているんだよ」と、彼に伝えようと決めている。

 加齢。それは避けて通れないもの。我々人間は常に加齢と戦う。けれど、それは、本当に戦うべき相手なのであろうか? 私は疑わしいと思う。

 加齢と戦っている動物も、植物も見たことがない。もっと広い大きな流れ、視点からみれば、加齢は、進化とも取れるかもしれない。

 主人公内藤は、ハゲてきたことを認めた。

 その認めるという行為に至るまで、人間は、顕在意識、また潜在意識からも影響されているから感情が渦巻く。その渦巻く感情に翻弄されている思考を、言葉に変換し、表現するのは難しい。

 けれど、作者・古川奏さまは、それを拾い上げる。とても正確に。そして、ユーモアたっぷりに表現する。私は、いつもそれに驚いてしまう。

 読み終えるとき、きっと、素晴らしい何かが、心の幕を開けます。加齢と共に、前進するための勇気になります。

 ぜひ、御一読を。

 それにしても、私は作品の主人公、内藤さんに興味津々である。内藤さんの一日は、きっと悟りの一日に違いない。

 内藤さんのハゲとその悟りに感謝の意を込めて。

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