腕相撲がやばいです。
side アリア
現在私達三人は宿屋に来ています。目的は勿論宿泊です。部屋が空いていれば良いのですが。
「はい、宿泊ですね。一泊3500アルマになります」
ふむ、この村には珍しい若い女性ですか。ギルドから派遣されてきた職員でしょうね。
「取り敢えず二泊でお願いします」
「かしこまりました。お部屋はどうなさいましょう?」
「一人部屋を一つと二人部屋一つでお願いします」
「はい、かしこまりました。夕食はこの奥の通路を右に行って頂くと食堂に出ますのでそこでお願いします。シャワーは各部屋に魔道具が備え付けられていますのでご自由にご使用下さい」
ふむ、この村の人々は基本的に無警戒なのでしょうか。見ず知らずの人に身分を聞こうともしない。それだけ平和って事ですかね。
「では、これがお部屋の鍵です。お一人様が105号室、お二人様が203号室です。一階の105号室は奥の通路をまっすぐ向かいますとございます。二階の203号室は奥の階段を上って右側にございます」
~~~
side イルム
ふぅ~~。やっと一息付ける。
あの戦場から逃げてきてからというもの。これまでの生活ではありえない状況だった。常に傍らにミリスタリア達女性が存在し、無意識に気を張っていたのだ。
しかーし、今はやっと一人!今日は緊張せずに眠れるぞ!
けっしてミリスタリアやアリアさん達と一緒にいるのが嫌というわけではない。しかし、色々とくるものがある。
常日頃から美人な女性二人と一緒にいるなんて、世の中の男性からは非難を浴びるかもしれないが、俺にそんな余裕は無い。
それに、明日はミリスタリアと二人きりで魔物を狩る予定だ。ここ数日は二人きりという状況は無かったので、すこし緊張するけど。
それにこの前結局聞けなかった『腕相撲』の謎についても教えて貰えるかもしれないし。
うんうんとイルムがこれからの事に頭を悩ませていると、コンコンとドアをノックする音が聞こえる。
「イ……アルスさん!寝てませんか!ご飯食べましょう!」
~~~
in食堂
久し振りのちゃんと味がある食事!戦争中も含めて、ロクな食事をしていなかったイルムは温かい食事に感動していた。
「アルスさん、明日は私と『二人きり』で狩りに出るんですよね!」
「お、おう」
「早く終わらせて、この前の続きしましょうね!」
「……続き?」
「腕相撲です!」
うぇぇ……。確かにゴタゴタしてて結局二回戦はしていないけれども。
「……」
「……ん?」
殺気!?というかなんかアリアさんが殺気の篭った目でこちらを睨んできている?
「姫様、腕相撲をしたのですか?」
「……あ」
「あ、ではないです、あ、では。それで勝負はどうなったんですか?」
「……それは」
ミリスタリアは口籠る。あの腕相撲にそんなに大きな意味があったのだろうか。いや、突然意味もなく腕相撲をしたんだ。ミリスタリア的にっは何かあったのだろう。
「アルスさん」
おっと、こちらに矛先が向いた。
「どちらが勝ったのですか?」
「俺ですけど」
「……あわわあわわわ!」
やはりミリスタリアの様子がおかしい。というか額に青筋まで浮かべている。か、勝っちゃいけなかったのか!?
イルムの額に汗がにじむ。
(……だからミリスタリア様はますますイルムさんに……)
アリアは小さくため息をつく。
「ミリスさん?後でお話があります」
「……お手柔らかにお願いします」
最強の二人が駆け落ちしました。 @oudon2972
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。最強の二人が駆け落ちしました。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます