故事はおもしろく、そして物語の基本が詰まったもの

中国の故事、それを生む元となったエピソードを掌編小説で紹介。

それがこちらの作品なわけですが、故事というものはどこかで目にすることはありますし、そんな感じの意味だよなぁと思うことはありつつ、意外とエピソードまでは知らないものです。それこそ最初のエピソードである「矛盾」、こんな流れで成立したものだとは思いもしませんでしたよ。

故事に限りませんが、話というものは整理・統合されてようやく力を持つものですね。その力が宿る過程を物語として見せていただくと、結末というものはなんとなく、しかしきちんと段階を踏んで形になるのだなと痛感します。そしてこれって、小説も同じですよねぇ。エンディングに力を与えるものはそれまでの物語の積み重ねに他ならないんだって。

読み手さんには故事というもののおもしろさを、書き手さんには故事というものが見せてくれる物語構造を、それぞれ感じさせてくれる一作です。

(「この後どうなる!? 連載中」4選/文=髙橋 剛)