コンビニをオアシスと認識しない人生の方が幸せだろうと思うけど。

夜のコンビニって、癒しであるような気もしますが、手ごろなスーパーマーケットや商店が閉まっている時間帯にちょっとした食品なんかをコンビニで買うというシチュエーションを思うと、その空気感は疲労に塗れている気がします。そんな舞台設定、状況設定がもう、この物語のテーマにぴったり合っていて素晴らしかったです。

コンビニがオアシスのように見える時ってあるけれど、コンビニがオアシスに見えるって事はそのコンビニ以外が砂漠のように見えているということですもんね。
そんなオアシスのような夜のコンビニという舞台装置の上で始まるストーリーは、誰にでも起こりそうで、でも、たぶん、こういったストーリーは奇跡の部類に入る訳で。

劇的な出来事はなにも起こらないけど、この物語は奇跡に違いなくて、語られないこの物語の続きには、きっと人間臭い普通の日常があって「そして時折、この二人は読者をあっと言わせたりほっこりさせたりするような日々を送っていくんだろうな、読者の知らないところで」と思わせてくれるいい作品でありました。

どうぞ、ご一読くださいませ。