頼もしい旅のなかま

エステルってこんなきりっとした強い女性だったんですね、、官能基(化学の話)なんていうから、五月みどりみたいな人かと思ってました。たとえが古くてごめんなさい。

古典文学は、手強い。
読めない漢字が多い。言葉遣いが難しくてストーリーが頭に入ってこない。長い。
課題図書のように無理矢理読まされた日にはトラウマだ。

そんな古典の西のラスボス「聖書」は、本当は面白い。
とんでもないサイコパスの連続に、想像の上を行く異世界を味わうこともできれば、偉大な英雄のしょうもないヘタレっぷりに爆笑することも、
レトリックの微塵もない文章の中に、数千年経っても変わらない人の心の優しさや強さ、貴さを見つけて愕然とすることもある。

しかし、何も知らずに聖書だけを手に入れてガチで読みこなそうとするのは無理ゲー、レベル1の村人が手ぶらで魔王に挑むようなもの。旅の仲間が必要だ。
そういう手引書として書かれた書籍は少なくないが、この作品ではタイトルからも明らかな通り、作者の嗜好や主観が前面に押し出され、文中も一貫している。
好みは分かれそうだとも思ったが、それがちょうどいいアクセントになって、ヨタンにナヨタンにヨアブにモアブみたいな固有名詞の神経衰弱ゲームもなんとか乗り切ることができる。
丁寧な説明の一方でテンポも早く、とてもよかった

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