目覚ましネコ

 我が家にやって来た、スコティッシュフォールドの子猫「きなこ」は、しばらくの間、ケージで寝かせていました。

 寝る時は、ケージを毛布で覆って、暗くしていたのです。


 よく、夜に元気になって、大運動会を開く猫の話を聞きます。それをやられると、たまらないので、最初からしっかりとしつけようと思ったのです。


 その甲斐あって、きなこは夜になると素直に寝るいい子に育ちました。しかし、朝は早いのです。


「ニャァ、ニャァ」


 6時くらいから、起きはじめて、鳴きはじめます。


「起きるにゃあ」

「ここから出せにゃあ」


 休みの日だから、ゆっくり寝ようと思っても、許してくれません。

 このまま無視を続けていると、ケージの隙間から手を伸ばしてきます。ケージは、枕元にあるので、狙いは私の頭です。


 眠い目をこすりながら、ケージの扉を開けると、白と茶色と弾丸が飛び出します。部屋中を所狭しと駆け回り、すやすやと眠っている先輩犬のゆずには猫パンチ。

 何事かと、眠い目を覚ますゆず。完全に安眠妨害。本当に申し訳ないです。


「性格がすごくいい子ですよ」


 ペットショップの店員さんの言葉がリフレインします。


 キャットタワーの上に落ち着き、全てを睥睨するように見下ろすきなこは、悪魔の化身に見えました。

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