この小説の作者さんの名前は「やぶさか」さんですが、一度国語辞典で開いて意味を調べてみましょう。
「やぶさか」
〈意味〉
1:物惜しみするさま。けちなさま。
2:ためらうさま。思いきりの悪いさま。
と、なります……が。
「いやいや、どこがですか!」
この小説を読めばそう思います。
この小説は、ルールを踏み越えるダーティさと、不意に笑わせるコミカルさと、このお仕事特有のリアルさを、一つも惜しまず見事に兼ね備える、思いっきりのよいエンタメ作品でした。
自信を持って、オススメします。
皆さんに読んで貰えるのならば、レビューの一つや二つ、やぶさかではありません(´・ω・`)。
生活安全課防犯係。多忙と言われる警察の部署のなかでも、もっとも忙しいと言われる場所。皆戸南署に勤める大倉のスマートフォンが深夜に振動する。裏直であったがために三連休は夢と消えそうだ。大倉が呼び出された理由。それは行方不明の女子高生を捜索せよという指示だった。
優秀すぎるのも困りものだな、と思いつつも、冴える頭で思考し、足取りを追っていく。警察官の捜査の手順や方法論はテレビの世界でしかわかっていません。ただ、「事件が起こる前に解決する」ことができる警察官、というものに、感銘を受けました。奔走する姿はどんなにクマが隠せなくても、充血していても、コーヒーが恋人でも、懸命であるのだと。そしてこれがフィクションであったとしても、描かれた生々しい人々の姿に心を動かされました。