第6葉 実はチョコレートの語源はメキシコ語のチョコラル(苦い水)


 今私は困っている。とても困っている。


「これも、これも、これも食べてねみーちゃん」

「多い多い。少し止まれチビ助」


 少しキツイ発言をしたのをお許ししていただきたい。どんどん目の前の皿にご飯が盛り付けられているからである。


「これも、食べて、これもね」

「腹が爆発するわ」


 どんどん盛り付けられていく。普段が富士山くらいのご飯なら今はエベレストのようなものである。これは女子高生が食べれるものじゃない。ベジタブル星に住んでいるヤサイ人が食べるものだ。


「さぁ、どんどん召し上がれ」

「いや、先輩が作ったもんじゃないですよね」


 何故、先輩が作ったわけでもないのに、ドヤ顔なのか全然わからない。


「でも、これだけ集めてきたのはあたしだよ」

「いや、食堂の人達には迷惑になってることに気づいて」


 同じ桜花寮の人達だチラチラとこちらを見たりしている。照れるね


「こんな食えるわけないじゃないですか」

「でも、これぐらい食わないとダメだよ」

「私を太らせたいと言うのですか!」

「そうだよ!」


 聞きましたか?皆さん、これ以上の女性の敵は存在するのでしょうか?太らせたい?頭おかしいですね


「いくら私が可愛いからってあんまりですよ!」

「みーちゃんは可愛いけどそれとは違うよ!」


 うふふ、聞きましたか?皆さん、これは照れてしまいますね。ヤバイですね。


「でもこんなに食べられませんので、帰りますね」

 ガタッ


 そう言い私は席を立ち部屋に帰ろうと足を進める。


「待って待って、ここは通さないから!」


 フンっと鼻息を荒くして腕組みをして仁王立ちしている。


「悪いけどみーちゃんにはこれぜーんぶ食べてもらうからね」

「なんで、先輩はそんなに私を太らせたいんですか?」


 そう、まずそこだよ、さっきまで思ってたのにすっかり忘れてたよ。


「それは…」


 ん?先輩がくぐもっている?これは何かある。


「何か訳ありのようですね?」


 私は覚悟を決めてと



「単純にみーちゃんが痩せすぎだからだよ!!」

「?!??!」

「みーちゃん!自分が身長何センチな知ってるの?」

「ひゃ、167センチですけど」

「体重は?」

「48キロですよ」

「どう考えても痩せすぎだよ、みーちゃん」


 すごい、感動してる、こんなに後輩を気遣う先輩がいたのだろうか?


「でもモデルさんとかは、私より背が高いけど私と同じくらいの体重の人もいるでしょ」

「みーちゃんはモデルさんじゃないでしょ」


 そりゃそうだ


「私、実はスレンダー体型を目指していてですね」

「嘘ばっかつかないで」


 やれやれ、こうなったらこの先輩は動かない気がする。この半年以上の付き合いからなんとなくだけどそんな気がする。


「召し上がれ、みーちゃん」


 こんなんきっと食べれないだろうが、食堂の人達の苦労もある。頑張るしかない!


「いただきます!」


 私は、右手に箸、左手にスプーンを持って目の前のエベレストに挑んだ。






「うう、お腹いっぱい」

「みーちゃんなら食べれると思ったんだー」


 私は全てを食べ尽くし上機嫌な先輩と一緒に部屋に帰っている。ふと私は思った。


「そういや、先輩は体重何キロ何ですか?」

「48キロだよ」

「私と一緒?!」


 ま、まさか自分より身長が高い人と体重が一緒なのが嫌だから私にあんなに、ってそんなわけないよね。


 うん、そんなわけない...と思うことにした。

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