第2葉 実はあのヒーローの頭の中はつぶあん
キュイイイイーン
四つ葉のクローバーを先に見つけた方が勝ちという勝負に負けたので、先輩と一緒に桜花寮の自室に帰ってきて私は一人で掃除している。
「あー、めんどくさいよ〜」
「そんなこと言わないの」
「先輩は掃除してないから言えるんですよ〜」
「だって勝ったもんね〜」
先輩はベットに座り足をブラブラさせながら言う。
「他の勝負なら負けるもんて何もないですよ!」
「一回も買ったことないのにすごい自信だ」
「それは先輩が覚えてないだけですよ」
キュイイイイーン
「ごめん、みーちゃんなんて言った?掃除機がうるさくて」
「…なんでもないですよ。バーカバーカ」
私は皮肉を込めて囁くように小さな声で呟いた。
「今あたしのことバカって言ったよね?」
「聞こえてるじゃないですか!」
さっきは聞こえてなかったくせに
「あたしのことバカって言った!みーちゃんひどい!」
「そんなことより先輩あのですねぇ」
「スルー!?」
んなどうでもいいことより大事な事を掃除をしながら思い出していたことを今思い出した。
「掃除機が吸ったゴミはどこにいくんですか?」
「は??」
何そのリアクション?これは私が実家にいた頃からなんだかんだでお母さんに聞かなかった疑問なんですけど?こちとらこの疑問と8年間の付き合いなんですけど?
「いや、そりゃあ掃除機の中でしょ?」
「え?!掃除機の中?」
なんと先輩はすでに答えを知っていたのだ。
さすが1年先に生まれてるだけあるね。
「そりゃそうでしょ。掃除機で吸ったらブラックホールにでも吸い込まれると思ってたのみーちゃん?」
「そそ、そんなわけないでしょ!」
なんて事だ。私が8年間で推理した自分なりの答えをすぐに言い当てた。1年先に生まれたのは伊達ではない。
「で、でもこの掃除機、先輩とわたしが出会った時に買った物ですよね?」
「うん」
「私たちは、水曜日の夜と土曜日の昼にするって決めてるじゃないですか?」
「うん」
「で、今日以外は今まで一緒に掃除してきましたよね?」
「うん」
「今まで吸ったゴミやホコリはこの掃除機の中に蓄積されてるって事ですか?」
「うん?」
急に先輩が首を傾げたぞ。
「いやいや、掃除終わったら掃除機を片付けるよね?」
「はい」
「で、掃除機を片付ける係はみーちゃんだよね?」
「はい、少し重たいですもんね」
「うん、いつもありがとねみーちゃん」
「いえいえ」
「それで片付ける時に掃除機の中身を捨ててるよね?」
「いや、私はさっきまで掃除機はブラックホールに通じてるものだと思ってました」
「本当に思ってたんだ」
なんか先輩が苦笑いしてる。あれ?もしかしてバカにされてる?
「そうだよね。そしたら掃除機を開けるわけないもんね」
「はい」
「この掃除機の中身が見えないタイプだから良くなかったんだね」
「そうなんですね?」
「みーちゃんは私より天然だよね」
んなわけない
「じゃあ、掃除機の中身捨てようか」
そう言い先輩はベットからおり掃除機に近づく。
「あれ?んっ、はっ、あ、開かない」
「どうしたんですか?」
「いや、ここがあくはずはなんだけど!ふっ!」
「あいてませんね」
どうやらこれは私の出番らしい
「変わりますよ」
「ありがとうね、フゥ」
たったこれだけの事で何故か息が切れているのは無視する。
「いきますよ!フン!ハッ!セイ!」
「…」
「フン!フン!トゥアー!」
「…」
「やめましょう」
「あ、諦めた」
こんなん無理ですよ。ここ本当に開くんですか?ピクリともしませんよ?
「じゃあ一緒に力合わせて開けようか?」
「やりましょう。それしかありません。最良の策でしょうね」
「う、うん」
さすが先輩だ!そんな事思いもつかなかった。
「それじゃあ、せーのでいくよ」
「はい」
「いくよ!」
「「せーのっ!」」
バァン!
その瞬間、今まで蓄積されてきた。ゴミが掃除機が壊れると共に部屋に散らばった。
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