第5葉 実は亀は生まれたときの温度で性別が決まる
「朝だよ!起ーきて!」
「ゴフッ!」
朝心地よい眠りから目を覚まさせてきたのは同じ部屋の先輩、
まぁ、そんなことより
「何いきなり人の布団にダイブしてるんですか?」
「みーちゃんを起こすためだよ?」
そうこの先輩は、私に遠慮をしない宣言をしてからはこんな風に無邪気に構ってくる。
「ていうかまだ5時じゃないですか?まだ寝れるじゃないですか」
そう言い私は布団の中にTRY again
「待って待って!みーちゃんが明日は朝走るから起こしてって言ったんじゃん!」
「あぁ、そんなことも言いましたね。でももうそんな気分じゃないので寝ますね」
「走ろうよ!ね!」
「いやていうかなんで先輩は体操服に着替えてるんですか?」
私は朝起こされた瞬間から疑問に思っていたことを言ってみた。
「え?!だってみーちゃんが朝走るから...はっ!」
「どうしたんですか?1時間目体育なんですか?意識高いですね」
見ているとなんだか先輩があわあわしている
「あ、いや、その、てっきり私みーちゃんと一緒に走るもんだと思ってて」
「…」
可愛い、何この先輩、霊長類史上最強に可愛いじゃないの?そんな勘違いする?この先輩誰かと一緒じゃないと死ぬの?
「ま、まあ1時間目体育なのも理由の1つというかその〜」
「嘘ですね」
「はい」
こんなんもうジョギングしに行くしかなくない?
「じゃあ行きましょうか」
「やったー!」
「着替えるで待っててください」
「うん!」
私は着替えながら思う。ジョギングに体操服っておもろいね
…………
「はっ、はっ」
「ふんふーん」
ジョギングの最中、先輩は常に上機嫌である。しかしもう10キロくらい走ったはずなのだが、
「走るのって楽しいね!」
「そ、そうですね」
息切れの1つもしていない、かなりのハイペースで走っているのにもかかわらず、運動部の私が息を切らし始めているにもかかわらず!
「見て!みーちゃん!あそこに四つ葉が生えてるよ」
「見えるわけないでしょ」
ジョギング中に道端に生えているクローバーの違いなんか分かるわけない、なんだったらクローバーなのかもわからない。もう何もかもわからない
しかし、運動部に所属している私が帰宅部に負けるわけにはいかないのだ
「せ、先輩!」
「ん?どーしたのみーちゃん?」
「ここからUターンして先に寮に帰った方が昼飯を奢るという勝負はどうですか?ハァ、ハァ」
「いいよ!いつUターンするの?」
「じゃあ、私の合図でUターンしましょう。ハァ、ハァ」
「オッケー、いつでもいいよ」
この先輩、余裕こいてやがるよ、運動部の追い詰められたときの底力ってやつを見せてやる
「それじゃあいきますよ、よーい、Uターン!!」
「はっ!」
私と先輩は同じタイミングで体を後ろに負けるためにそれぞれが逆の足を踏み込んだ。その瞬間
グキッ!
「はう!」
「にゃっははー、絶対負けないからねー」
「ちょっ、ちょっとまって!」
「にゃはははー」
足がグネってる、まずい、先輩どんどん進んでいってる。まずいこれは本当にまずい、これ今だけ痛いやつだ。あとで言っても痛みを全然わかってもらえないやつだ。
痛い!
「はぁ〜」
もう諦めよう。もともと勝てない勝負だってのは薄々気づいてた。数分前の私を蹴り飛ばしたい。
どうしようかなぁ、昼ごはん奢るって言ってしまったけど、今月金欠というかもう口座に一文無しというか、困ったなぁ
もう、先輩見えなくなっちゃったし、ここから歩いて帰るのも時間かかるし、先輩が言ってた四つ葉のクローバー探しながら帰ろう。帰ったら昼ごはんを奢る話なんかなかったことのように振る舞おう。もうそうするしかない。そう思いながら私は今頃Uターンした。
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