体を売りながらも、高校に通い、家に帰るという主人公。母は男を家に連れ込み、いつも主人公を邪魔者扱いした。学校でも主人公は浮いた存在だった。そんな中、久しぶりに登校した学校で、委員長に休んだ分のノートを渡される。しかしある日、主人公が体を売っている際の写真が教室に貼り出されていた。主人公はネットに写真をアップした男の名刺をとりに家に急ぐが、そこで信じられない仕打ちが待っていた。
自分は果たして死んでいるのか、生きているのか。
高校の屋上で、主人公が目にしたもの。それは――。
「人の居場所」と聞くと、「場所」を考えてしまう。おそらく「家」や「学校」、もしかしたら「会社」かもしれない。でも、それは違うのだ。「家」には「家族」がいて、「学校」には「友達」がいて、「会社」には「仲間」がいる。だから人の居場所になりえるのだ。つまり、人が居場所と思う時、そこにいる人々がその人の居場所になっているのだ。
人の距離や機微を描くことに長けた作者様の作品。
本作でも心を抉られました。
是非、御一読下さい。